変換速度とパフォーマンスの向上が図られた、“定番”日本語入力システム「ATOK for Mac」の新バージョン。英文入力支援機能(ATOK 4E)なども強化された。「ATOK for Mac」は、変換精度の高さと手厚い入力・校正支援機能で高い評価を得るMac用日本語入力システム。新バージョン「2010」では、変換エンジンが高速化され、変換速度の向上が図られたほか、変換精度も向上。Mac内の辞書や人名、固有名詞などのデータを「ATOK」から活用できる「Macスマート連携」機能も追加された。さらに、専用の英文入力支援機能(ATOK 4E)により、英語文書の作成を効率的かつスムーズに行える。[プレミアム]は、通常版の機能に加え、辞書内の見出し語を「部分一致検索」できる国語辞典、英和・和英辞典、英英辞典などを搭載。世界8ヵ国語に対応する「Web翻訳変換」サービスも利用できる。
日本語入力システムの心臓部である変換エンジン「ATOKハイブリッドコア」の処理は、従来比で約10%の高速化を実現。日本語文脈の分析成果を活かした新アルゴリズムの導入により、同音異義語の使い分けや文節区切りなどの精度が高まり、正確な候補がいち早く提示されるようになった。
英語とカタカナの変換も強化され、同一文章内でのカタカナと英単語との使い分けが容易になった。「ATOK 2009 for Mac」では、日本語入力がONのまま英語を入力した場合でも、英文に変換することができたが、「2010」ではさらに一歩進み、英語からもカタカナが変換候補に表示されるようになった。例えば「いんてrねtの」の変換で「インターネットの」と「Internetの」が候補に現れる。
日本語表現の誤りやあいまいさを指摘してくれる校正支援機能では、従来の「ら抜き・二重敬語」「くだけた表現」などのほか、新たに「重ね言葉」が指摘対象に追加された。「馬から落馬」など、つい犯しがちな間違い表現を未然に防げる。
英語入力モードでは、「ATOK」独自の入力支援機能が、さらにシェイプアップされた。新たに追加された、リアルタイム動作のスペルチェック機能では、変換操作時にスペルミスを指摘し、正しいスペルを候補として表示する。また、これまで一部切り替え操作が必要だった、
- 推測候補(英語の入力途中に予測して候補を表示)
- スペルチェック(タイプミスを推測して正しい候補を表示)
- 和英変換(日本語と判断して、翻訳語の候補を表示)
が同一ウィンドウにまとめられ、一覧できるようになった。さらに入力語から、文脈に相応しい語や、関連するジャンルの単語を抽出する「予測アルゴリズム」の精度が向上し、入力効率が高まった。今回、新たに開発された「Macスマート連携」は、iTunesやアドレスブックなど、Macに格納されているデータと連携することで、スムーズな入力・変換操作を実現するもの。例えば、
- iTunesに保存された音楽データの曲名やアーチスト名
- アドレスブックに登録された人の名前や会社名、住所
を、入力された単語(の一部)から検索し、スムーズに入力できるようにしてくれる。Mac OS Xに搭載された辞書アプリケーションと連携し、「ATOK」の変換ウィンドウから辞書の内容を検索することも可能になった。[プレミアム]には、
- 明鏡国語辞典、ジーニアス英和・和英辞典 /R.3 for ATOK
- ロングマン英英・英和辞典 for ATOK
- 会社四季報 企業名変換辞書 for ATOK(2010年 2集)
が搭載される(標準版には搭載されない)。1.と2.は、新搭載の「部分一致検索」機能に対応。入力した単語に部分一致する見出し語を辞書検索できるもので、「ホーム」から「プラットホーム」「ホームステイ」「特別養護老人ホーム」などを検索できる。そのほか、日本語の入力語から直接Web検索を開始し、英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の8ヵ国語への翻訳変換を行える「8ヵ国語Web翻訳変換for ATOK」も追加された。