いまこそ地味な地術に光を！

「だいちのちから」は、“地属性”がフィーチャされた短編ファンタジーRPG。物語の舞台は、人々が魔力を扱う術を手に入れた世界。術には「天」「地」「風」「水」の四系統があるが、なかでも最も強大な力を持つのが「地術」。しかし、それがゆえに高い技量が求められ、人々から敬遠されて、いつしか最も地味な存在になっていた。

主人公の「ロンド」は、旧時代の遺跡に囲まれた町「アイリッセル」で暮らす女性術士。地術を中心とした術具や術式書を扱う店を経営するロンドは、クレイドラゴンの「レマ」とともに気ままに過ごしていた。レマは、魔術で模造生命体を作り出す「ゴーレム技術」が繁栄していたとされる旧時代に作られた竜の模造品。レマの小さな体に命を吹き込んだ秘術こそが地術だといわれているが、その術も現在では失われ、現在の地術では模造竜を作ることはできなくなっていた。

ロンドは常々「冒険者が使うような地術具を売りたい」と考えていたが、冒険者から求められるのは、他属性の術具や術符ばかり。たまに注文があったかと思うと、庭の土に栄養を与える日用品など。店で悩んでいてもはじまらないと考えたロンドは、地術を流行らせるヒントを外に求め、レマとともに出かけることにする。

アイリッセルの町の人に話を聞きながらリサーチしていた二人は、ロンドのはとこにあたる女薬師「コーディナ」から、丘の上の小さな遺跡に生えている「エルビオン草」を取ってきてほしいと頼まれる。地術が役に立つかもしれないと、ロンドとレマは早速、遺跡へと足を運ぶ……。

ひとつの術を極めるか、それとも多種多様な技を使いこなすか

ゲームの内容は、ダンジョン探索タイプのRPG。町やダンジョンなど、マップ上での移動では、【Z】キーのダッシュと【A】キーのジャンプが役に立つ。戦闘は（基本的に）シンボルエンカウント形式。マップ上で敵シンボルに接触すると、バトルがはじまる。戦闘中のコマンドは「攻撃」「地術」「ガード」「アイテム」「逃げる」の五つ。ターン制バトルになっており、各キャラクタが攻撃できる順番は、戦闘画面の左上に表示される。

敵との戦闘は、武器攻撃の「攻撃」と魔法攻撃の「地術」を駆使して行う。地術を使用すると、「EP」が消費される。減ったEPは休息やアイテムで回復できるほか、通常攻撃を命中させて、回復させることも可能。地術は、レベルアップ時に取得できる「AP」を消費することで修得できる。

地術にはさまざまな種類がある。戦闘時に使うものもあれば、ステータスをアップさせたり、回復させたりする常時スキルもある。いろいろな術を使えるようにするもよし、お気に入りの術を極めるもよし。自分のスタイルに合わせて地術を使いこなしたい。

基本的に主人公のロンドとその相棒・レマの冒険が中心となるが、この二人（一人と一匹？）のやり取りが漫才のようで、非常におもしろい。突然魔物に出くわしてオロオロするレマと、「君も一応竜でしょ、いっちょ威嚇してやれ」とクールに返すロンドとの関係には、思わず頬が緩んでしまう。アイリッセルの町の人々も個性的なキャラクタが多く、彼らのとぼけた会話にもぜひ注目してほしい。

普通に進めると5〜6時間程度でクリアできるが、地術の育成などのやり込み要素や、クリア後のおまけも用意されている。戦闘の難易度を設定することも可能で、「イージー」「ノーマル」「ハード」「グランド」の4段階から選択できる。ストーリーを楽しみたい人は「イージー」、通常のゲームを楽しみたい人は「ノーマル」、難しめのRPGを楽しみたい人は「ハード」でプレイすることをお勧めする。最強難易度の「グランド」は、一度クリアした人向けのようなので、初プレイの人は避けたほうが無難だろう。

気軽にストーリーや戦闘を楽しみたい人にも、キャラクタを育成したいやり込み派にもお勧めできる。すっとぼけた地属性の術織士「ロンド」と、わんぱくなクレイドラゴン「レマ」の小さな冒険を楽しんでいただきたい。

開発中に苦労した点
最も修正の多かったのが、ゲーム中のテキストです。私は意識しないで文章を書くと長文になってしまうので、プレイヤーさんにとって必要であろう情報を吟味し、全編の文章を読みやすくする作業を何度も繰り返したのですが、結局公開ギリギリまでテキスト関連の修正は続けていました。

あとは、自作のスクリプトをいくつか搭載しているのですが、素材サイト様のスクリプトとの共存を図るのが大変でした。問題なく動作しているように見えても、実はバグが……ということが何度かあり、そのつどソースコードとにらめっこしていました。

ユーザにお勧めする使い方
シナリオとキャラにちょっと癖があり、多少人を選ぶゲームですが、主人公たちの掛け合いや、シナリオの雰囲気を気に入っていただけるのであれば、最後まで楽しんでもらえるのではないかと思います。本編だけだと少し物足りないかな、という方のために、クリア後のおまけも用意してありますので、気が向いたらそちらも遊んでもらえればうれしいです。

今後のバージョンアップ予定
イベントやダンジョン、アイテムを追加する大型バージョンアップの予定は、いまのところありません。バグや誤字・脱字の修正、および細かいご要望に対する対応は、随時行ってゆく予定です。