マルチメディア編集機能が強化された統合型ライティングソフト「Nero」の新バージョン。「Nero Multimedia Suite 10」は、CD/DVD/Blu-rayライティングソフトとして知られる「Nero」シリーズの新バージョン。2008年に登場した「Nero 9」の後継バージョンにあたる。“Multimedia Suite”と謳われている通り、従来バージョンに対して映像・音声の編集機能が大幅に強化された。
強化された動画編集機能は、初心者向けの「ストーリーボード」方式と、中上級者にも好まれる「タイムライン」方式の両インタフェースを利用できる本格的なもの。タイムライン方式の編集画面では、動画トラックを複数利用できるマルチトラック編集も行える。動画クリップ同士のトランジション効果はもとより、複数の動画を同一画面に合成したり、ある動画の中に別の動画をはめ込んだりする「ピクチャインピクチャ」や、複数の動画を重ね合わせる「オーバーレイ」など、さまざまな演出効果を利用できるようになった。
さらに、時間軸で複数のキーフレームを設定し、各キーフレームにエフェクトの強度を指定することで、時間経過にともなうエフェクトの強度変化を自由に設定できるようになった。ファイルへの出力では、NVIDIA製GPUの演算能力を利用する「CUDA」にも対応。対応するビデオカードを利用していれば、高速なエンコードを行える。
「そこまで高度な編集機能は必要ない」というユーザには、簡単に操作できるスライドショウ作成機能が便利だ。使いたい素材をストーリーボード上に複数指定するだけで、指定された素材が順番に再生される動画を簡単に作成できる。トランジションやBGMは、プリセットされたテーマを適用するだけでよい。
編集した動画は、ライティング機能を利用してメディアに書き込める。DVD-Videoの作成はもちろん、(従来バージョンではオプションソフトの購入が必要だった)Blu-ray Disc(BDMV)のオーサリングも標準で行うことが可能。メニューの作成はあらかじめ用意されたテンプレートから選択するだけでよく、誰でも簡単に動画ディスクを作成できる。
データディスクの作成では、データの安全性をより高められる「SecurDisc」を利用できる。データに対してパスワードを用いた暗号化を行い、第三者によるデータの利用を行えなくしたり、冗長データによって、読み取りエラーや改ざんなどに対する耐性を含めたりといったことが可能。さらに「Nero」シリーズには、傷などで読み取りエラーの発生するメディアからデータを読み取り、できる限りデータを復元する機能があるが、「Nero Multimedia Suite 10」では「SecurDisc」機能により、元のデータを復元できる可能性が高まった。
そのほか、メディア容量に収まりきらないファイルを複数枚のメディアに分割して書き込んで保存できる「DiscSpan」機能なども追加された。