ソフトを開発しようと思った動機
もともとは、私自信が聞き取り能力を高めたかったためです。私は、言葉を聞く能力が低かったのです。といっても聴覚能力が低いというわけではありません。相手が話している言葉が音としては理解できるのですが、言葉としては理解できないということです。聴覚は正常なのに、相手が言っている意味が理解できず、何度も聞き返してしまうことがよくありました。そのような人って意外に周りにもいませんか?私は、世間に溢れている脳力やリスニング力の向上などを謳っている教材の研究を行ったり、賢いと思われる人の行動パターンや生活習慣を分析したりなどしました(なかには怪しげなものもありましたが……)。その結果、日常生活ではあり得ない不自然な音声を意識的に耳にすることで、聞き取り能力が鍛えられるということがわかりました。
不自然な音声とは「ボリュームや速度、音色、再生順序などが日常とは異なること」を示しています。日常に存在する自然な音声は、ついつい聞き流してしまいます。しかし、不自然な音声を聞き取るには意識を集中させる必要があります。「不自然な音声を聞き取る」というトレーニングを続けることにより、集中力を高めることができるのです。
「耳鍛錬」は、ボリュームの左右バランスが不自然な音声を生成させることができます。使用してみるとわかりますが、耳がピクピクとして、意識が音声に向けられていることが実感できるかと思います。また、有償ソフトに「耳鍛錬Neo」があります。こちらはボリュームだけでなく、音声の再生速度を変動させることにより、さらに意識を強めることが可能な、不自然な音声を生成します。
開発に苦労した点
最も時間を費やしたのは、聞き取り能力を向上させるための方法論の構築です。技術的な方面の話では、Windows 7/VistaとWindows XPではサウンド周りの仕組みが異なるため、実装するのに苦労しました。サウンド周りのプログラムは、ちょっと凝ったことをしようとすると、途端に日本語の資料が少なくなります。
また、自然な感じで音声のバランスを変動させる方法にも苦労しました。不自然すぎると聞き手は苦痛に感じます。ただし、自然すぎると脳が安心して聞き流してしまうため、効果が得られないのです。このパラメータは試行錯誤で設定を決めました。
今後のバージョンアップ予定
利用者から主にメールで感想をいただくことがあるのですが、「最終的にトレーニングをやり遂げた」という報告は驚くほど少ないです。それだけ途中で挫折してしまう方が多いということです。トレーニング途中で成果が見えたと報告をくださる方もいますが、多くの方はトレーニングに使用する適切な音声教材が周りにはなかったり、実施のペースがつかめなかったりしているのだと思います。これは14日間、一人でトレーニングメニューを組み立てて実践することの難しさを表しているともいえるでしょう。
そのため今後は、14日間のトレーニングメニューを「実現したい目的別」にセットした教材をリリースすることを考えています。今後とも利用者の声を取り入れて、「耳鍛錬」の機能向上を行いたいと思います。
(WebEve SoftLab)