小さな子どもや絵が苦手な人でも、気軽にアニメーション作りを楽しめるソフト。フリーハンドで描いた線を、なぞるだけできれいに修正してくれるツールなどにより、誰でも簡単にアニメーションを制作できる。「PICMO」は、難しい操作や知識を必要とせず、誰でも手軽にアニメーションを作成できるソフト。“コンピュータを画材にする”が開発コンセプトで、マウスドラッグだけで描いた絵に、簡単に動きをつけられるようになっている。作成したアニメはSWF/QuickTime形式で保存できるほか、YouTubeに直接アップロードして公開することも可能。「おしりかじり虫」などで知られるクリエイターユニット・うるまでるびを中心に開発された。
メイン画面のデザインはシンプルなペイントソフト風。絵を描くためのスペース(キャンバス)が大きく取られ、ツールやブラシ、カラーなどの機能が画面端に並ぶ。動画編集ソフトに一般的なタイムライン編集エリアはない──実際にはタイムライン編集機能も備えるが、ユーザはそれを意識することなく、絵を描くことに専念できるようになっている。描画ツールには、ペンや円、矩形などの図形、テキスト入力、消しゴムといった基本的なものに加え、単色での塗りつぶしやグラデーションでの塗りつぶし、レイヤ操作用ボタンなどが用意されている。
描画ツールのなかでもユニークなのが、指先のアイコンで表現された「いい子いい子ペン」。例えば、フリーハンドで描いた線がガタガタになってしまったとき、このペンを使ってその部分をなぞるだけで、滑らかに修正してくれる。さらに、線の端の部分でマウスのボタンを押しっぱなしにすると「形状記憶引っぱりペン」モードになり、図形を引っぱるようにして、長さや向きなどを微調整できるようになる。スプライン曲線やベジェ曲線のハンドルを使った編集に比べ、直感的で親しみやすい。
描いた図形に動きを与えるには「アニメクリップを作る」機能を使う。アニメクリップ化された図形を選択すると、オーディオプレイヤーに似た操作画面が図形ごとに表示され、録画ボタンを使って、動きを記録できる。
アニメクリップの設定方法には「ペグ」「タクト」の2種類がある。「ペグ」は、絵に置いた「ピン」をマウスで自由にドラッグして変形させ、その動きを「録画」する方法。「タクト」では、キャラクタの状態をいくつかのポーズとして登録しておくと、あるポーズから別のポーズへ変化する動きを、マウスのドラッグに合わせて自動的に作り出してくれる。
「ペグ」「タクト」はいずれも、従来のアニメーション作成ソフトのように座標を厳密に指定する必要がなく、マウスの操作に合わせて絵(キャラクタ)が動くのを見ながら録画することが可能。しかも、これらの方法は既存の画像ファイルに対しても同様に設定することができ、読み込んだ写真にさまざまなポーズをつけて動かせる。
動作タイミングを決定するには、一般的なタイムライン+キーフレームではなく、メトロノーム機能を使用する。録画を開始するとメトロノームの音が再生され、音に合わせてマウス操作で絵を動かしてゆく。もちろん、メトロノームのテンポは調整することが可能。さらに細かい動きを指定したいときは、フレーム単位で編集できる「タイムライン編集」機能を利用すればよい。
作成したアニメーションはSWF/QuickTime形式で出力することが可能。YouTubeへのアップロード機能も備え、「PICMO」専用の共通アカウントまたは個人用アカウントで公開できる。