3D形状を簡単に作成できるモデリング機能や、“空気感”を再現できる高度なレンダリング機能などが追加された“定番”3D CGソフトの新バージョン。「Shade 11」は、ホビーから映像制作、建築分野まで幅広く利用され、使いやすさやレンダリング品質の高さなどで定評のある「Shade」シリーズの新バージョン。2Dイメージの立体化機能、表現力を大幅に向上させたレンダリング機能など、多数の機能追加および強化が施された。前バージョン「Shade 10.5」同様、プロフェッショナル・業務用の「Professional」、本格的な3D CG作品を作るために必要な機能が搭載された「Standard」、これから3D CGをはじめるユーザ向けの「Basic」の三つのグレードが用意されている(編集部注:以下の本文は「Professional」を中心にまとめられています)。
今回のバージョンアップで追加された機能は、2Dイメージから簡単に3Dモデルを作成できる「スケッチモデラー」「フォトモデラー」、光跡を表現できる「ボリュームライト」、3Dモデルを直感的に変形できる「ケージ」など。「スケッチモデラー」は、既存の線画、イラストなどの画像をトレースするだけで、平面画像から立体をモデリングできる機能。画像の特徴点を指定することで、初心者には難しい3D形状も簡単に作成できる。人の顔のように複雑な凹凸がある形状でも、短時間で作成することが可能。左右対称の3D形状の作成も自動的に行われる。
「フォトモデラー」は、既存の2D画像から立体をモデリングする機能。スケッチモデラーとは異なり、さまざまな角度から撮影された複数の写真画像を利用する。複数の写真に対して同一の特徴点を指定することで立体形状が認識され、3Dモデル化される仕組み。3Dモデルの色や表面のテクスチャなどを写真から取り込み、リアルな3Dモデルを簡単に作成できる。
「ボリュームライト」は、煙や霧、埃などが舞う空間を光が通り抜ける際の「光跡」を表現できる機能。雲の切れ目や木漏れ日などから差し込む光跡など、まるで実際の写真のような“空気感”を再現できる。
「ケージ」は、既存の3Dモデルを変形させる際に便利。「対象のモデルを立方体の『かご』に入れ、かご自体に変形を加える」というイメージの機能で、内部に入っている3Dモデルを同じ比率で変形させることができる。かごに対しては、曲げる、伸ばす、ひねるなど、さまざまな変形操作を行うことが可能。通常では難しい複雑な曲面や、凹凸が含まれる形状のモデルも、容易かつリアルに変形させることができる。
Googleが提供する3Dモデルライブラリ「Google 3Dギャラリー」とのデータ連携も可能。「Google 3Dギャラリー」からダウンロードできる3Dモデルファイル「SketchUp形式(*.skp)」の読み込みに対応し、Shadeオブジェクトと同様に取り扱えるようになった。
「Shade 11」のデータファイルにパスワードをかけて、「保存不可」「レンダリングイメージの解像度制限」などを指定できるロック機能も追加された。ロックされたファイルの作成は「Professional」のみの機能だが、「Basic」「Standard」でもパスワードを入力して、制限を解除することは可能。「Basic」「Standard」のユーザにファイルを配布する用途にも使える。
そのほか、
- 編集時のオブジェクト位置合わせに便利な「スナップ」
- Adobe Photoshopなど、レイヤ機能を搭載したレタッチソフトとの併用に便利な「マルチパスレンダリング」
- アニメ調の画像を作成できる「トゥーンレンダリング」
など、前バージョン「10.5」までに搭載されていた編集・レンダリング機能も、より一層洗練された。人体アニメーションの作成に便利な「Poser」、景観作成ソフト「Vue」などの3D CG作成ソフトとの連携も強化されている。