「Flip Board」は、複数の項目をまとめてコピー＆ペーストしたいときに便利なクリップボード拡張ソフト。FIFO（First In, First Out）方式が採用され、複数のテキストをコピー/切り取りし、記録した順番通りに貼り付けられる。「通常は機能をOFFにし、タスクトレイメニューやホットキーを使って、必要なときだけONにして活用する」といった使い方をすることが可能。コピーしたテキストのセットを何回でも繰り返し貼り付けられる「ループ（ペースト）」機能も搭載する。

ソフトの中心となる機能は「FIFO」「ループ（ペースト）」の二つ。「FIFO」のON時には、テキストを連続していくつでもコピー（または切り取り）・記録することが可能。記録されたテキストは、貼り付けを行う際、先に記録されたものから順番に取り出される。例えば「住所録のデータをHTMLの入力フォームにコピーする」といった、選択したデータをセットでコピー＆ペーストしたいときなどに威力を発揮する。

「ループ（ペースト）」はFIFO機能のループ版。FIFOでは、記録されたテキストがすべて貼り付けられると、自動的に機能がOFFになるが、ループ（ペースト）では最後のデータの貼り付け後に、再び最初のデータから貼り付けを再開することが可能。データセットを複数の表にコピーしたいときなどに適する。

いずれの機能も、記録できるテキストの数は無制限（メモリの許す限り記録できる）。対応するデータ形式はテキスト（それ以外のデータ形式をコピーすると、自動的に機能がOFFになる）。操作は、コピーが【Ctrl】＋【C】、切り取りが【Ctrl】＋【X】、貼り付けが【Ctrl】＋【V】と、Windows標準のショートカットを使用する。

履歴機能も搭載する。ホットキーで履歴ウィンドウを呼び出し、コピー/切り取りしたテキストのうち、新しいものから16個までを表示・選択して、貼り付けることができる。

FIFO機能などが適用されるのはショートカットキーを使って操作をしたときだけなので、「FIFO用のバッファにデータを記録しながら、マウスを使って別の作業でWindows標準のコピー＆ペースト機能を使う」といったコンビネーションが可能なのもおもしろい。ホットキーを使用して、キーボードのみですばやく機能をON/OFFしながらコピー＆ペーストでき、記録したテキストをすべてペーストし終えたら、自動でFIFO機能がOFFになるなど、操作性もよく考えられている。

ただし、筆者の環境で現バージョン（0.90）をテストしたところでは、動作に若干、不安定な部分があった（たまにテキストのコピーやペーストに失敗することもあった）ことをご報告しておく。

開発中に苦労した点
OSの機能を拡張するようなツールのため、起動中のアプリケーションに影響する（キー入力を常に監視する）処理が特に苦労しました。デバッグ中ではキー入力監視処理自体も止まるため、デバッグしようにもキーを入力した途端、デバッグもろとも固まるという状態になってしまっていました。

それは以前のバージョンに存在していたバグが原因なのですが、以前のバージョンでは、異常終了報告ダイアログが出た状態で下手なことをする（何かキーを押す）と、アクティブなウィンドウも固まってしまうという事態になっていました。現在のバージョンでは修正しているので、このようなことはないと思います。

ユーザにお勧めする使い方
基本的にテキスト編集で重宝するツールですので、プログラマの方など、主にテキストを編集する職場の方には便利なツールになると思います。一時的にテキストやURLをとっておくのにも便利でなないかと思います。また、履歴機能もあるので、「間違ってコピーをしてしまい、前のコピーしたテキストを再度コピーする」といった面倒な作業も必要ないため、そうした状態になりやすい方にもお勧めできます。

今後のバージョンアップ予定
現状、バージョンアップの予定はありませんが、メジャーバージョン（1.00）にて、スニペット機能（定型句の登録）や、ツールのさらなる安定化を含める予定です。もともと軽量なツールとして制作しているので、これ以上の機能追加は考えていませんが、もしほしい機能があれば、ホームページの掲示板に書き置きしていってください。時間があれば、対応したいと思います。

ソースコードについて
このツールはオープンソースで公開しています。Vectorに登録しているインストーラにも同梱しています。もし、自分でこのようなツールを制作してみたいという方がいたら、参考にしたり、自分好みに拡張したりなど、気兼ねなく利用してください。