高校野球シミュレーションゲームの名作「栄冠は君に」シリーズの初期3作品がまとめられたプレミアムセット。当時の雰囲気はそのままに、ユーザインタフェースが改良され、よりプレイしやすく生まれ変わっている。「栄冠は君に」シリーズ初期3作品が、当時の雰囲気のままに完全復刻
「栄冠は君に レジェンドパック」は、「栄冠は君に」シリーズの初期作品を復刻したプレミアムセット。第一作目の「栄冠は君に」、二作目にして完成形とも名高い「栄冠は君に2」、グラフィックやインタフェースが一新され、コンセプトも多少変更された第三作目「栄冠は君に3」の3タイトルが収録されている。
プレイヤーは、全国の高校から好きな学校を選び、野球部の監督となって甲子園大会での優勝を目指す。プレイヤーが直接部員を操作するのではなく、指導する監督になるのが「栄冠は君に」シリーズの特徴。予選大会に向けて日々の練習メニューを決定し、試合では作戦を立てたり、要所で的確な指示を与えたりしながら、実際の監督と同様、自校を勝利へと導く。
甲子園で悲願の優勝を果たすのに大きなポイントとなるのが選手の育成。三学年合わせて数十人いる部員一人ひとりの能力や個性、成長状況などを、与えられた情報をもとにきめ細かく把握しなければならない。それぞれの部員に合った練習メニューを与え、能力を引き出して成長させ、部全体の実力を高める。これこそが「栄冠は君に」シリーズの醍醐味といってよい。
シンプルながら、充実したシステムが搭載された記念すべき第一作
「栄冠は君に」は、初の高校野球シミュレーションゲームとして発売されたシリーズ第一作。目指すのは、もちろん夏の甲子園大会。ゲーム内時間でわずか1年しかプレイできないという制約はあるものの、シンプルながら非常に完成されたシステムが搭載され、充実したプレイを楽しむことができる。
ゲームを開始して最初に行うことは、自分が監督を務める高校とユニフォームの選択。
- 北海道、関東、近畿、四国などから地区を選択
- 選択した地区から出場地区(県)を選択
- 表示されたリストで高校を選択
- 表示されたイラストの中からユニフォームを決定
これで、いよいよ監督生活がはじまる。予選大会までの日数は40日。この限られた日数で選手たちを鍛える。出場地区は、最初は出場校の少ない県を選ぶとよいだろう。まずは選手情報を見て、部員の顔と名前を覚えよう。選手情報は「一年生」「二年生」「三年生」「正選手」「投捕手」「内野」「外野」を指定して確認できる。表示されたリストにマウスポインタを置いて、選手ごとに詳細な情報を確認することも可能。個人情報はポジションや自信、体力、気力、打力、球速、走力など、計20項目ほどが表示される。
次に練習内容を指示する。指示できるのは「守備練習」「筋力強化」「足腰強化」「打撃練習」など。「前回同様」を指定して、前回の練習内容を繰り返させることもできる。練習内容は「選手全員」「一年生全員」「正選手全員」「守備位置別」「個人別」などのグループごとにまとめて指示することが可能。選手たちの練習風景がミニキャラで表示されるのも楽しい。時には他校から練習試合を申し込まれることもある。
練習を繰り返すうちに、いよいよ予選大会がはじまる。試合中、攻撃では「代打」「代走」「待て」「打て」「犠打」「盗塁」など、守備では「選手交代」「守備変更」「前進守備」「敬遠」などの指示を適切に出して、自校を勝利へと導こう。
最長80年までプレイできるようになり、各部も改良されたシリーズ第二作
「栄冠は君に2」は、「栄冠は君に」の機能がさまざまな点で強化されたシリーズ第二作目。前作での最大の欠点だった「1年しかプレイできない」ことが改善され、最大80年までプレイできるようになった。たとえ敗退しても──三年生は卒業してしまうが──チームの二年生と一年生は進級してそのまま引き継がれ、新一年生を加えた部員で再チャレンジできる。新入生の能力値は前年の成績で変化するため、少しずつ実績を積み重ねることで、弱小チームを名門チームへと成長させてゆくことも可能だ。
ゲームの流れは前作と同じ。全国の高校から自分が監督となる学校とユニフォームを選び、監督名を入力したらゲームが開始される。予選の60日前がゲーム開始日。メイン画面に表示される情報が増え、練習メニューなどの構成も多少変化しているが、前作との違和感はない。「一括」の練習メニューで「投球練習」を選んだとき、自動的に投手だけにメニューが適用されるなど、細部が強化され、よりプレイしやすくなっている。さらに、1日分の練習メニューを最大12日まで繰り返すよう設定できるようになったが、この機能を多用しすぎると練習メニューが単調になり、選手の育成が不十分になる。
練習風景がミニキャラで表示されるのも前作同様。すべての練習メニューがひとつの画面内で表示された前作とは異なり、分割画面を使ってそれぞれの練習風景が個別に表示されるようになった。グラフィックの雰囲気そのものは維持されている。
試合時のスターティングオーダーの設定なども操作性が向上し、試合終了後には詳細な結果データが表示されるようになった。システムは優れており、前作「栄冠を君に」の完成形といってよい名作だ。
リアリティが重視され、選手の能力を監督が主観で評価するようになった第三作
「栄冠は君に3」は、前2作からシステムやグラフィックなどが一新され、コンセプトも若干変化したように感じられるリニューアルバージョン(シンプルで操作性のよかった前2作とはテイストが異なり、オールドファンにとっては意見の分かれるバージョンでもある)。夏の大会だけだった前2作に対して、新たに秋のブロック戦と春の選抜大会とが追加されている。プレイ期間は最長50年。セーブデータを利用して、プレイヤー2名で試合を行う「対戦モード」も追加されている。
メイン画面は、部室の黒板のようなデザイン。黒板の左側には目標を書いた紙が3枚張られている。内容はプレイヤーの好みで変更できる。画面下部に表示されるタブをクリックして「練習」「情報」「システム」を切り替え、さらに下位メニューのアイコンをクリックして指示を与えるシステムとなっている。
「栄冠は君に3」の最大の特徴は「各選手の能力は監督が自ら判断して決定する」ということ。選手情報が詳細な数値データとして表示された前2作とは異なり、「身長」「体重」「100M(走)」「1500M(走)」「遠投」などの基礎体力以外は正確な数値が表示されない。「体力」「打力」「打技」「球速」「制球」「走力」などの各選手の能力は、試合結果や基礎体力などで判断して「A」から「E」の5段階で評価する。評価は選手にも伝わり、正当な評価を受けていない選手は監督に対して不信感を抱くことにもなる。
選手の「性格」や「個人面談」も重視される。選手一人ひとりを呼び出して、最近の調子や悩み事、試合結果について話し合ったり、叱ったり褒めたりして選手とのコミュニケーションを密にし、目に見えない情報を得たり、メンタル面のケアをしたりすることが重要。面談を行うことで、各選手の野球に対する姿勢や監督への信頼度などがわかることもある。
練習メニューでは、具体的で詳細な内容を指定できるようになった。システムも変更され、練習メニューをあらかじめ一定期間分設定しておいて、「時間進行」コマンドを使って一気に日にちを進めることが可能になった(1日ずつ進めることも可能)。イベントには試験の日程などもあり、全体的に非常にリアリティにこだわったゲームシステムに変更された。