最近は「カメラといえばデジタルカメラ」といわれるほど、デジタルカメラが主流となってきている。しかしその一方で、一部の人の間では、フィルムカメラ──特にやや古めの昭和時代のカメラや、画質などほとんど気にしないようなおもちゃ風のカメラ(トイカメラ)が人気を集めているそうだ。こうしたカメラは、持ち歩くことがある種のファッションともいえるが、実際に撮影された写真も、なかなか「味のある」ものだ。そうした画質が好きでこの手のカメラを使う人も多いという。だが、それほどのこだわりのないライトユーザにとっては、古いカメラやトイカメラはややハードルが高い面もある。というのは、デジカメ全盛の昨今、そもそもフィルムを現像したり、印画紙に焼き付けてくれたりするサービスが、昔に比べて減ってきているためだ。機械を使った普通の現像・焼き付けはともかく、ちょっと凝ったフィルムを使ったり、普通とはちょっと変わった現像をお願いしたりするのは、昔に比べると非常に難しい。現像がいらない「インスタントカメラ」も、最近ではフィルムが入手困難になりつつある。
「Toycamera Standalone XP」ならば、ごく普通のデジタルカメラで撮影した画像を、フィルムカメラやトイカメラ、インスタントカメラ風に加工することが可能だ。シャープでノイズが少なく多画素といった昨今の「高画質」を求めるデジタルカメラの画像に、逆行ともいえる加工を施すわけだが、おもしろくて味のある効果を得ることができる。実際にカメラを保有するわけではないので、所有欲は得られないかもしれないが、「カメラ本体にこだわりはなく、クラシカルな画像がほしい」という人には、これはこれで「あり」だと思う。
(天野 司)