アナログ画材の高い再現性で定評のある高機能ペイントソフト。“手描き風”の絵画を、現実の画材に近い感覚で作成できる。「Corel Painter 11」は、絵筆や絵の具をはじめとした多彩なブラシや用紙など、「現実に存在する画材を使って描いたかのような作画」が可能な高機能ペイントソフト「Corel Painter」の新バージョン。新バージョン「11」では、
- 画材の追加
- より正確な色再現を行えるカラーマネジメント機能の強化
- 色選択機能の強化
などが行われた。画材関連機能では、独自の「ハードメディア」をカスタマイズできる「ハードメディアコントロール」が追加された。ハードメディアは、鉛筆や色鉛筆、ペン、チョークといった「筆先が硬質で、容易に変形しづらい種類の画材」のこと。画材を動かす方向やストロークの速さなどでさまざまなタッチを得ることができるが、「Corel Painter 11」では、ハードメディアに対してユーザ独自のカスタマイズを施せるようになった。設定できるのは、筆先の傾き角度、厚みやストローク幅など。新規に独自のハードメディアを作成したり、既存のハードメディアの内容をもとに編集したりといったことも可能だ。
プリセットされた画材は、新バージョンでさらに種類が増えた。ストロークごとにだんだんと色が濃くなり、重ね塗りできる「マーカー」カテゴリーが追加されたほか、動かす速度によって線の太さやインクの量が変化するペン、立てるか寝かせるかで線の太さが変わる「リアル鉛筆」など、現実の画材に一層近づいた。あらかじめプリセットされた画像パターンを筆先から吐き出す「イメージホース」など、作画ソフトならではの機能も、もちろん健在だ。
ディスプレイやプリンタの特性に合わせて表示色を調整する「カラーマネジメント」機能も大幅に強化された。カラーマネジメントの肝となる「カラープロファイル」は、システム一括ではなく、編集するファイルごとに指定できるようになった。また「Adobe Photoshop」ファイルのインポート時には、Photoshopファイルに埋め込まれたプロファイルの認識が可能になり、「Photoshop」との色合わせを行えるようになった。「Photoshop」との連携では、カラーマネジメント情報のほか、レイヤ情報も保持されるため、「Photoshop」と「Painter」との間でのデータ受け渡しも容易になった。
(描画色を選択する)色選択機能では、一般的なレタッチソフトで使われる「カラーパレット」と、油絵で使われるパレットのように、板上で複数の絵の具を混ぜ合わせて色を作成できる「ミキサーパレット」のいずれもが強化された。両パレットともに、従来は固定サイズであったものが、自由に拡大・縮小できるようになった。さらに「ミキサーパレット」では、元の絵の具の色を決定する「カラータイル」をより多く表示できるようになり、混色を行いやすくなった。そのほか、
- 画面上の任意の範囲を選択する投げなわツール
- 似たような色の部分を自動選択する「マジックワンド」
も強化され、従来以上に的確に、狙った範囲を選択できるよう改善された。ハードウェアへの対応では、Cintiqペンディスプレイ、Intuosペンタブレットなど、タブレット製品ではスタンダードともいえるワコム社の製品に対応。マウスでは味わえない描画感が得られる。また、画材が高度化されたにも関わらず、パフォーマンスは改善され、ブラシ機能では最大30%もの高速化が達成されている。
さらに、
- キャンバス内に黄金分割や三分割法にもとづいたグリッドを表示することで、画面全体のバランスを取りやすくする「構図ツール」
- 画面の全体、一部、特定レイヤのみを変形させる「変形ツール」
- 写真をもとにアーティスティックな作画を行える「下塗りペインティング」
など、ペイントソフトに求められる多くの機能を搭載し、より一層使いやすくなった。