SF戦術シミュレーションゲームの名作「パワードール」シリーズ第1作の、待望のリメイク版。グラフィック、ムービー、システムともに一新され、やり応え満点のゲームに仕上がっている。新キャラクタ「アズサ」も加わり、「DoLLs」のメンバーが再びオムニ独立のために戦う
「パワードール1」は、戦術シミュレーションゲームの名作「パワードール」シリーズ第1作のリメイク版。ただし、単に以前のWindows 3.1/95版からWindows Vista対応になったのではない。「パワードール5」とほぼ同等のシステムに換装し、グラフィックやムービーもすべて一新されている。好評を博したシナリオなどのゲームの根幹は変えないまま、ミッションの構成やキャラクタの能力などのバランスが全面的に再調整されている。
舞台は、現在から500年以上未来、地球よりはるか60光年の彼方にある、人類唯一の殖民惑星「オムニ」。オムニの支配権を獲得しようとする地球政府軍と、それに抵抗するオムニ独立軍との間で激しい戦闘が繰り広げられていた。人工冬眠によって160年をかけて地球から移住し、以来さまざまな困難を乗り越えてこの星を開拓・発展させてきたオムニの人々にとって、いきなり新開発の超光速航行技術でやって来て、成果だけを横取りしようとする地球政府のやり口は、到底受け入れられるものではなかった。
およそ100年ほど進んだテクノロジーを誇る地球政府軍の精鋭100万に対して、テクノロジーでは劣るものの、オムニの環境に最も適した装備を有し、地の利を生かしてゲリラ戦を展開するオムニ独立軍。互いに決め手を欠いたまま、戦況は膠着状態に入り、3年が過ぎた。
ゲームの主人公は、人型戦闘用パワーローダーを操る「DoLLS(Detachment of Limited Line Service)」のメンバー。地球政府軍が最も警戒する、女性隊員だけで構成された特務部隊だ。DoLLSのメンバーは、第177特務大隊所属の第3機動特務中隊として、緊急展開を要するミッションで活躍する。
ブリーフィングで得られた情報をもとに、じっくりと部隊編成を行おう
用意されたミッションは「遠すぎたダム大作戦」「ナイアガラドロップ」「キッドナップ作戦」「オーバーキル作戦」「マウンテンハイク」「スピアーヘッド作戦」「アトミックバスター」「オムニシンドローム」など。「キャンペーンモード」でストーリーに沿ってプレイしながらパイロットを育て装備を整えてゆくことも、また「シナリオ選択」で好きなミッション(最終話は除外)をデフォルトデータ(または育て上げたセーブデータ)を利用してプレイすることもできる。
各ミッションは、まず「ミッション ブリーフィング」からはじまる。隊長であるハーディ・ニューランド中佐からは現在の状況、ヤオ・フェイルン少佐からは作戦目的、そしてオペレーターのアズサ・ユミ少尉からは兵力情報と作戦概要が説明される。すべて声優によるフルボイスで語られるが、なかでも特に重要なのがアズサによる作戦概要の説明。アズサが与えてくれる情報をもとに、作戦に合わせて出撃するメンバーを選択し、武装を整えられるかどうかで、ミッションの成否が決まるといっても過言ではない。
各パイロットは、それぞれ異なる「技能」(索敵、通信、工兵、隠蔽)と「バトルスキル」を持っている。ミッションを成功に導くには、それぞれのミッションに応じて適切な人材に適切な乗機(パワーローダー、支援車輌、輸送機、戦闘攻撃機、強襲機など)と装備とで出撃させる必要がある。例えば、爆薬の設置が必要なミッションでは、工兵のスキルを持つ隊員に、パワーローダーの武装を多少犠牲にして、爆薬を携行させる必要がある。移動や射撃、索敵など、各隊員が行動することで、AP(アクションポイント)が消費され、必要なAPがなくなると、そのターンでは何ひとつ行うことができなくなる。技能のある隊員とない隊員とでは、同じ行動でも必要とするAPが大きく異なってくる。
各隊員の能力と主要任務を考慮しながら、部隊全体を効率よく運用することが重要
ミッションの成功には乗機の選定も重要。例えば、パワーローダーにも「装甲歩兵」「装甲偵察歩兵」「装甲突撃歩兵」などの種類があり、それぞれ「地防」「空防」「白兵」「機動力」などのスペックが異なる。武装もミッションによって工夫が必要。「装甲歩兵」だけは両肩にも武器を装着することができるが、基本的にパワーローダーが携行できる装備は1機につき二つまで。しかも予備弾倉などはなく、携行した兵器の弾薬を使い切ると、あとは白兵戦に頼るしかなくなる。ミッション中の無駄弾の発射は禁物なのはもちろん、携行する兵器の選定もミッションの内容を考慮して、慎重に行わなくてはならない。
乗機や武装が決まった隊員をどの部隊に割り振り、どのような任務に就かせるかもプレイヤーの考えどころ。ミッションによっては、「作戦立案」で任務内容や到着予定時刻などの一部を変更することも可能だ。このように、ミッション開始前に入念な準備を行うことで、成功率を高めることができる。この点が「パワードール1」の最大の特徴といってよい。
すべての準備が整ったら、いよいよミッションの開始。輸送機の移動先を指定して、マップ上にパワーローダーを降下させたら、ターン制戦術シミュレーションが開始する。クォータービューのマップ上で、高低差や地形などを把握し、地形効果などを利用しながら、各パワーローダーに索敵、隠蔽、移動、射撃などの命令を与えて、任務を遂行する。すべての行動にはAPが必要となるので、各部隊員のスキルや任務などを考慮しながら、部隊全体を統率したい。状況に応じて、待機している他の部隊に支援要請をすることも重要だ。