3D CGで描かれた生き物たちが泳ぎ回る姿を楽しめる「DigiFish」シリーズの中でも、この「DigiFish AncientOcean」は、すでに絶滅した古代生物を蘇らせたユニークなタイトルだ。細部まで細かく再現されたCG画像はかなり近寄っても美しく、また動きによって形が崩れるといったこともない。実にリアルな泳ぎで楽しませてくれる。登場する生物は、科学番組などで聞き覚えのある名前のものから、まったく知らないようなものまでさまざま。公式サイトに掲載されているものを見ると、現在の魚の先祖はもちろん、魚竜らしきものまでバラエティに富んでいるようだ。
解説は、図鑑的な視点からいえばちょっと不満。例えば、生息していた地域(熱帯/温帯とか)や水深、食性などまで教えてくれるとうれしいのだが、BGV的なソフトとして見ればまずまずといったところだろうか。ついでにいうと、「小さい魚を放して餌を与える」という機能があって、ここで実際に追跡中の生物に応じた餌を投入して捕食行動を観察できたりすると、筆者としてはさらにうれしいのだが、相手が古代生物とあっては、さすがにそれは難しそうなので、単なる願望にとどめておく。
というわけで、古代生物マニアには物足りないかもしれないが、アクアリウム好きの方にとっては、ちょっとしたバリエーションとして空想の世界を楽しめそうだ。
ところで、PDFのマニュアルには「追跡モード」と対になるモードの記述がないので、どういうものか悩んだのだが、どうやらシリーズの他のソフト(「DigiFish Dolphine」)には、イルカと戯れるためのモードがあるようで、これとの関連で「追跡モード」という名前が残っているのではないかと思う。わかってしまえばどうということはないが、初めての方はちょっと戸惑うかもしれない。
(福住 護)