シンプルな操作性ながら、高度な機能を備えたペイントソフト。レイヤは最大8層まで扱える。「ISHTAR(イシュタル)」は、ビットマップ画像の作成や既存の画像の編集などを行えるフルカラー対応のペイントソフト。ペンやブラシなどのツールを用いて手描き風のイラストを作成できるほか、写真のレタッチなども行える。
主な操作は、メイン画面左端に表示される「メインパネル」と、メニューバー直下に表示される「ツールバー」から画材や機能などを選択することで行う。例えば色の選択には、RGBAまたはHSV色空間から任意の色を選択できる「カラーコーディネータ」と、HLS色空間に並べられたカラーチップ群から選択できる「HLS」パレットを利用できる。そのほかにも、ペンの種類や機能を選択する「ペンブラシツール」、グラデーションやハッチング、円や四角形描画機能などを選択する「図形描画ツール」、レイヤの追加や削除、透明度などを設定できる「レイヤウィンドウ」などが必要に応じて表示されるようになっている。
描画色として選択できるRGBA/HSV/HLSでは、いずれもアルファチャンネル(透明度)設定が有効。下地の色を残した透過付きのペイント操作を行える。ユニークなのがスポイト機能。一般的なペイントソフトとは異なり、スポイトを選択しなくても、キャンバス内で右クリックすれば、その位置のドット色をカラーパレットに吸い上げられる。
直線や円、スプライン曲線は、GDI+の機能を生かしたアンチエイリアス付きの描画を行うことが可能。手軽に高品位の図形を作画できる。なかでも秀逸なのがスプライン曲線描画の操作性。左クリックでポイントの追加、右クリックで最後に追加したポイントの削除を行うことが可能で、効率的に曲線を描画できるようになっている。テキスト入力の際にも、アンチエイリアス文字を描画できる。
フィルタでは、ぼかしやエンボス、ガンマ補正といった基本的なものはもちろん、色空間変換やエッジ検出といったものも揃う。画面内に雪が降っているような効果を加えるフィルタや、球形、十字の光芒、桜の花をかたどったパーティクル描画、集中線描画といったユニークなフィルタも用意されている。パーティクルや集中線などの描画系フィルタは、レイヤ機能と組み合わせて使用すると効果的だ。
レイヤは最大8層をサポート。単純な重ね合わせはもちろん、アルファチャンネル付きの重ね合わせや、加算/減算などの演算を行うことも可能だ。
読み込み/保存は、レイヤ情報を保持できる独自形式(ISH)のほか、BMP/DIB/JPEG/JPEG 2000/PNGなどに対応する。