数式をそのまま入力して計算できる電卓ソフト。ユーザの指定した有効桁数で高精度な多倍長演算を行える。「多倍長電卓LM」は、数式を入力するだけで実数、整数の四則演算や数値関数などを評価・計算できる電卓ソフト。通常記述するスタイルで数式を入力するだけで、括弧や演算子の優先順位などが考慮された形で計算できる。大きな特徴は計算精度の高さ。内部の演算ロジックでは、計算過程において可能な限り有理数(分数形式)が使用され、いわゆる「桁落ち誤差」が発生しない。有理数で計算できない場合は、2進数を用いた可変長の浮動小数点演算を行うが、この場合でも多倍長演算を行うため、一般的な電卓ソフトに比べると精度は極めて高い。
有効桁数は初期状態で100桁だが、設定により10桁以上の任意の桁数にすることが可能。有効桁数を大きくとれば、それだけメモリを消費し、計算時間もかかるようになるが、必要に応じて高精度な演算を行える。扱える数値の範囲は、絶対値でおよそ10^100000000(10の1億乗)までと、天文学的な数字だ。
計算結果の表示は、指定した有効数字の桁数に応じて変化する。結果の数値に応じて「ショート形式」「ロング形式」の2種類の表示形式が自動的に選択される仕組み。ショート形式は、計算結果の有効桁数がそれほど大きくなく、区切り文字を使わなくても容易に読める場合の形式。ロング形式は、改行や空白を使って数値の桁数を見やすくするもので、初期状態では5桁ごとにスペースが挿入され、さらに50桁ごとに改行、1,000桁ごとにもうひとつ改行が挿入される。ショート/ロング形式の表示を切り替える桁数や、ロング形式の際のスペース/改行挿入桁数は、設定で変更できる。
計算では、基本的な四則演算/分数演算のほか、論理演算、++、--、べき乗、階乗、二重階乗、比較演算、配列などの演算子を使用できる。C言語の記法が取り入れられ、Cで使われる演算子の大半を利用することが可能。さらに三角関数や対数、平方根、最小公倍数、最大公約数、乱数といった関数も使用できる。
プログラム(マクロ)にも対応する。任意の名前を用いた変数を利用できるほか、forやwhileといったループ、ifやswitchなどの条件分岐、break、continue、returnといった制御構造、さらにfunction宣言、printfなど、C言語ライクなプログラミングも行える。これらを組み合わせることで、標準で搭載されていない数値関数を定義することも可能だ。起動時にマクロを自動実行する機能があり、自作関数を登録しておけば、組み込み関数同様に利用できる。標準で付属するスタートアップマクロには、10種類あまりの追加関数が定義されている。
計算結果や計算式は、プレーンテキストとしてクリップボードとの間でやり取りすることが可能。他の電卓ソフトや文書ファイルに貼り付けることができるほか、クリップボードの内容を計算式として計算することも可能だ。