「大戦略」シリーズで培われてきた、さまざまなシステムやルールを最大限盛り込んだ贅沢な作品

「大戦略パーフェクト」はその名の通り、「大戦略」シリーズの数多くの作品で培われてきたさまざまなシステムが集大成された、ターン制のウォーシミュレーションゲーム。登場する現代兵器、収録マップ、兵器の生産タイプ、参戦可能な陣営数ともに数多く、スケールは壮大。ルールは、プレイヤーの習熟度や好みに合わせて自由に選択することができる。最大限に盛り込まれた仕様と機能の中から、プレイヤーの好みに応じて自由に選択できる贅沢なシステムだ。

登場する兵器は、1960年以降のものが全部で700種類以上。「イージス艦」「戦略型潜水艦」「弾道弾迎撃機」など、新式の兵器も採用されている。兵器の生産タイプは日本、アメリカ、ロシア、ドイツ、イギリス、フランスなど16ヵ国。プレイヤーの好みでオリジナルの生産タイプを作成することも可能だ。一陣営で、最大999までの大部隊を作ることができる。

収録されたマップは、過去の「大戦略」シリーズの定番モノも含めて35枚。マップにより、最大8陣営まで参入した対戦を行うことができる（マップサイズは、48、64、128ヘックス。縦/横を別サイズに設定できる）。同梱のマップエディタを利用して、オリジナルマップを作成することもできる。

対戦ルールは、あらかじめ用意された「初級ルール」「中級ルール」「上級ルール」「大戦略VII PK」「現代2002」「大戦略WIN II」のルールセットを使用する。ルールの一部を変更できるだけでなく、プレイヤーが一からルールを設定することも可能。離れたところにいるプレイヤー間でデータをやり取りしながら対人対戦を行う「メール対戦」機能も用意されている。

各陣営ごとに部隊に命令するターン制で、初心者でもプレイしやすい

使用する戦場マップを選び、ターン数の制限や参戦する陣営の設定などを完了したらゲームの開始。1ターン目の「生産フェイズ」となる。資金を考慮しながら、首都から8ヘックス以内にある生産可能な建物で兵器を生産する。ひとつの建物で、その最大収納数まで兵器を生産することが可能（ルールで「収納あり」の場合）。攻撃力や移動力の強い武器だけを作成せず、建物を占領できる歩兵や、味方部隊に燃料や弾薬を補給できる兵器を生産することも、ターン数が多くなりそうなマップでは重要だ。

すべての陣営で生産フェイズが完了すると「収入フェイズ」となる。収入フェイズでは収入額などの確認だけを行う。ルールで設定することで、このあと「ミサイルフェイズ」「補給フェイズ」「補充フェイズ」をそれぞれ追加することもできる。「行動フェイズ」では、自軍の各部隊に命令を与える。マップ上の部隊アイコンをクリックすると、移動できる範囲が白枠のヘックスで表示されるので、任意のヘックスをクリックして移動先を指定すればよい。移動可能な範囲は、各兵器の移動力と地形などで変化する。移動先を再度クリックすると「行動パレット」が表示され、「戦闘」「射撃」「占領」「変形」「破壊」「武装交換」「トーチカ設営」「架橋」「補給」などの行動を命令できるようになる。その部隊が実行できる行動だけがアクティブ表示され、わかりやすい。

移動先の地形や敵兵器との相性などを考慮しながら、敵部隊を撃破しよう

行動パレットで「戦闘」を命令した場合は、次に攻撃可能な敵部隊上に「標的マーク」が表示される。攻撃する部隊を選択すると「戦果予想ダイアログ」が表示され、敵味方双方の「火力」「命中率」「回避力」が表示される。また、ダイアログ上段の機体アイコンに付いた「×」で、双方の部隊のユニット数とその撃破数の予測を確認できる。使える武器が複数ある場合は、ダイアログ中段にある武器データの先頭のボタンをクリックして、武器を指定することも可能だ。「OK」ボタンをクリックすることで戦闘が開始され、戦闘シーンが表示される。

戦闘と同じか、それ以上に重要なのが「占領」だ。敵陣営または中立の建物を占領することで、軍資金の収入増、補給・補充（修理）拠点の確保、索敵範囲の拡大といった恩恵を受けられる。占領は、歩兵などの占領能力のある部隊でしか行うことができない。ルールで「占領耐久度あり」に設定した場合は、建物の占領耐久度が0になるまで占領は完了しない。

移動や戦闘などによって消費した燃料や弾薬は、自陣営や同盟陣営の特定の建物にいるとき、または補給機能のある兵器に接しているときに補給を受けることができる。また、自陣営の首都や基地、工場にいるときに失われた部隊の編成数は、「補充」して回復させることができる。適切なタイミングでの補給・補充が重要だ。

こうして戦闘を行い、

• マップ上のすべての敵陣営の首都を占領するか破壊する
• マップ上のすべての敵陣営の部隊を撃破する
• マップ上に設定された「勝利条件ラベル」が張られたすべての建物を占領する

これまでの「大戦略」シリーズで採用されてきたシステムやルールを可能な限り詰め込んだ、贅沢な作りのゲーム。まさに「ターン制の『大戦略』の集大成」といってよい。操作性もよい。いままでにターン方式のウォーシミュレーションゲームをプレイしたことのある人はもちろん、まったく経験のない人でもすぐにゲームになじめる。何といっても、ゲームごとにルールを選んでプレイできるのがすばらしい。

「初級」「中級」「上級」をはじめとするルールセットがあらかじめ用意されており、プレイヤーのレベルや好みに応じて、段階的にルールを選べるのもうれしい。昔の「大戦略」シリーズしかプレイしたことのない“オールドファン”でも、まったく違和感なくゲームを楽しむことができる。

オリジナルのルールセットも作成できるので、一番簡単なところからひとつずつ新しいルールを追加するといったことも可能だ。筆者としては、ひとつの建物で複数の兵器を同時に生産できたり、ひとつのヘックスに「高度階層」の違う部隊をスタックできたり、といったルールがおもしろく感じた。「索敵」やそれと関連した「遭遇戦」「迎撃」といった概念もよい。ウォーシミュレーションゲーム好きの人はもちろん、「久しくウォーシミュレーションゲームをやってない」という人や、「いままで一度もプレイしたことがない」という人など、幅広くどんな人にでもお勧めできる。