「CLIPFAN」は、文字列の編集や整形をワンタッチで行ってくれるテキスト編集ソフト。搭載された編集機能は34種類。クリップボードに読み込まれたテキストデータを、ボタンクリックだけで処理できる。クリップボードからのテキストの読み込み、クリップボードへの書き込みもボタンクリックで行える。

メイン画面には、読み込まれたテキストが表示される編集窓が上部に、下部には処理内容ごとに割り当てられた編集ボタンと各処理用の条件を設定するためのボタンが並ぶ。編集窓内のテキストは、任意に編集を行ったのちに処理を行うことも可能。編集/設定ボタンに加え、直前の編集作業を取り消せる「UNDO」、クリップボードから読み込んだ状態に戻せる「CANCEL」、その時点までの編集結果を確定する「FIX」の各ボタンも用意されている。FIXを実行すると、以降はCANCELを実行してもFIXした時点までしか戻すことができなくなる。

利用できる編集機能は大きく分けて「文字種の変換」「行および文字列の整形」「文字列の挿入・削除・置換」と「行数計算」（分類は筆者によるもので、同梱されたヘルプでの分類とは異なる）。「文字種の変換」では、

• ひらがな⇔カタカナの変換（変換方向を一方向または双方向で指定できる）
• 大文字⇔小文字の変換（同上）
• 全角⇔半角の変換（各方向で変換する字種を個別に指定できる）
• 旧漢字⇔新漢字の変換

• 連番の挿入（初期値、増加値、挿入位置（行頭/行末）などを指定できる）
• 行のソート（昇順/降順のほか、文字列や数値といった比較の方法を指定できる）
• 文字列反転（行内の文字の頭尾を入れ替える）
• HTMLタグ（タグ除去に加え、Pタグ部分などへの空行挿入なども行われる）
• 行分割（指定桁位置への改行の挿入など）
• 同一行除去（連続する同一行があった場合、1行を残して他を削除）
• 文字揃え（右揃えや中央揃えなどが可能）
• 字下げ整列（指定した字下げ位置からずれている行を正しい位置に整列させる）

• 文字列置換（検索・置換文字列の組み合わせを5セットまで保存できる。リストによる一括置換も可能）
• 文字列削除（行頭または行末から指定文字数の削除などが可能）
• 字種選別（指定した種類の文字（半角大文字など）を削除したり、他の文字列に置き換えたりできる）

• 行数計算（総行数や空行数、総文字数などを調べられる）

クリップボードとの間でのテキストのやり取りには2種類の方法がある。ひとつは、先にデータをクリップボードへ転送しておいてから「CLIPFAN」を起動するもので、クリップボードのデータは自動的に「CLIPFAN」に読み込まれる。また、「CLIPFAN」を終了すると、編集したデータが自動的にクリップボードに転送される。もうひとつは、先に「CLIPFAN」を起動しておくもので、「クリップボードからの読込み」と「クリップボードへの書込み」ボタンを使ってデータの転送を行う。

編集の内容は、単純な文字列置換から、一定間隔での文字挿入や行の並べ替えといったことまでバラエティに富んでいる。もちろん複数のコマンドを順に実行していくこともできる。処理結果はウィンドウ上で常に確認できるのに加え、直前の処理を破棄して元に戻せるUNDOや、クリップボードから取り込んだ時点にまで遡って復旧してくれるCANCELといった機能もあって、安心して使うことができる。

また、一度使った設定を保存してくれるので、何度も同じパターンで繰り返し処理を行う人にとっても助けになるだろう。指定の桁位置で改行してくれる「行分割」では、行頭や行末での禁則処理を指定できるといったきめ細かい配慮も魅力だ。

「手作業での文字編集は面倒だし、かといって高機能なテキストエディタでは使いこなしに不安を感じる」という方には特にお勧めだ。

VB 6がいつまでサポートされるのかわからないことや、Windows Vistaで冷遇されているHLP形式ヘルプをCHM形式に変更したかったこともあり、今回VB.NETで書き直しました。また、StringBuilderを使って文字列処理の高速化を図っています。「Visual Basic アップグレード ウィザード」が期待以上に精密に自動変換してくれたので、LenB関数の置き換えや、コントロールの大きさと位置の調整程度の手間で仕上げることができました。

新しい文字列処理の追加はありませんが、処理速度の大幅な改善、大きいテキストのテキストボックス内での表示と直接変更、テキストボックスの縦横の拡大など、使い勝手が改善されています（VB.NETの威力です）。

今回の大幅な書き換えのため、バグが入っている可能性もあります。お気づきの点、機能追加などのご意見があればご一報ください。