「ClashLock」は、ファイルのヘッダ情報部分を破壊して拡張子を変更することで、通常の方法ではファイルを利用できないようにするユニークなファイル保護ソフト。変更されるのはファイルの一部のみのため、処理は高速。データそのものには手を触れないので、ファイルサイズの大きな動画などでも短時間で処理できる（テキストファイルの場合は、内容を表示できてしまうこともある）。復号も簡単に行える。

「ClashLock」を利用するには、実行ファイル「Clash.exe」を起動して、ウィンドウに対象のファイルをドラッグ＆ドロップするだけでよい。いったんウィンドウが消えたあと、処理終了後に再びウィンドウが現れる。ウィンドウ上のリストには処理されたファイルのパスとファイル名、変更前と変更後の拡張子、さらには処理の状態が表示される。フォルダをドラッグ＆ドロップした場合は、含まれるファイルすべてが処理の対象となる。サブフォルダがある場合は、実行前にダイアログが表示されるようになっている。

処理済みのファイルを表示するには、同梱の「ClashView（ClsVw.exe）」というツールを使用する。処理済みのファイルを「ClashView」のアイコンにドラッグ＆ドロップすれば、データの復元後に、元の拡張子との関連付けをもとにアプリケーションが起動し、ファイルを開いてくれる。

そこで、操作の手軽さや処理速度を重視する用途向けに作られたのが「ClashLock」だ。ファイルのヘッダ情報を加工すると同時に拡張子を変更してしまうことで、通常のやり方でアプリケーションからファイルを開けなくするというもので、テキストファイルの場合は一部内容を表示できる可能性もあるが、バイナリ形式のデータであれば、これだけでもかなり有効だろう。

「ClashView」を使って開いたファイルは、もちろん編集することが可能。ファイルを開いている間は、拡張子は元に戻り、アイコンもアプリケーション本来のものが表示されるが、ファイルを閉じると再び「ClashLock」が割り当てたものになる。

ひとつ注意しなければならないのは、「ClashView」さえあれば誰でも簡単にファイルを開けるという点。そのための配慮として、他のアプリケーションのショートカットから「ClashView」を利用できるようにするという偽装機能を備えているのだが、筆者の環境とは相性が悪いのか、残念ながらこの機能が実際にどのように働くのか検証することはできなかった。

大容量ファイルでも手軽に保護できるのは魅力なので、上記のような特徴を理解した上で、ファイルの種類や用途に応じて、暗号化ソフトやファイル偽装ソフトと使い分けるとよいだろう。

その後、展開作業が面倒臭くなって、ビューアを作成しました。「拡張子と暗号化に使ったソフトさえわからなければ、解読される危険は極めて少ない」と考え、現在のように拡張子偽装機能やビューア擬態機能を付けました。

開発中に苦労した点
暗号化形式がシンプルなため、作成に苦労したことはありませんが、使いやすさの追求には、かなり試行錯誤しました。最終的に、設定項目をすべて取り去って、操作を単純化するとともに、データフォルダやレジストリに痕跡を残さないようにしました。

ユーザにお勧めする使い方
「ClashLock」は、暗号化強度の点から重要ファイルの暗号化には向きませんが、暗号化する時間の手間が惜しいとき、よく使うファイルなどの暗号化が面倒なときに便利です。また、別の強力な暗号化ソフトで暗号化したファイルを隠すため、さほど重要でないファイルを大量に暗号化しておき攪乱する、といったセキュリティ補助としての使用もお勧めです。

実際に使う場合は、暗号化強度の低さを補うためにビューアは偽装し、「ClashLock」本体は速やかに削除して、必要なときにダウンロードするのをお勧めします（ビューアはデスクトップのショートカットに擬態すると便利です）。

今後のバージョンアップ予定
このソフトはひとつの完成形として考えているので、大きな変更をするつもりはありません。