チョークによる描画や黒板消しの操作などをリアルに再現した“黒板シミュレータ”。描画時のチョーク粉の落下などもきわめて忠実に再現されている。「AKI 黒板 Nx」は、黒板の上にチョークを使って文字や絵を描く感覚で、デスクトップに描画できるペイントソフト。“世界で唯一の黒板シミュレータ”を謳う「AKI 黒板」シリーズの最新作で、従来版の機能に加え、幅広い範囲を消すことができる「おおきな黒板消し」、まっすぐな線を引ける「三角定規」という便利なツールが追加された。
メイン画面は、暗緑色の黒板面、チョークや黒板消しなどが置かれる下部の溝(粉受け)と、左側の操作パネルから構成される。操作パネルは、マウスポインタの接近や離反で自動的にスライドオープン/クローズする仕組み。描画ツールは7色のチョーク(白/黄/赤/青/茶/緑/紫)で、マウスで1本ずつ“つまみ上げ”て使用する。複数の色の重ね描きも可能だ(ただし、チョークなのであまり混色はしない)。
マウスによるドラッグの軌跡がそのままチョークの描画線となる点は、一般的なペイントソフトの鉛筆ツールなどと同様だが、チョーク特有のかすれやよじれといった「書き味」が忠実に再現されていることが大きな特徴。さらに、キーやマウスクリックとの併用により、
- チョーク側面を使った幅広の線(チョークを倒した(寝かせた)状態で描画)
- 細く薄い線
- 点線
といった表現を行うことも可能だ。描画線を消すためのツールとしては「黒板消し」が用意されている。実際の黒板消し同様、描画線の上をなぞることで当該部分を消去できるもので、チョークと同じく自由な向きに動かして使える。また、狭い範囲であれば「指」でさっと消すことも可能だ。設定により、黒板消しや指で消した部分に「消し跡」を残すこともできる(黒板の色がうっすらと明るくなる)。
「Nx」で追加された「三角定規」「おおきな黒板消し」は、いずれも快適な描画を補助するためのツール。「三角定規」では、始点と終点を結ぶ滑らかな直線を引くことができ、「おおきな黒板消し」を使うと、より広い範囲を一度に消去できる。さらに、従来からサポートされていた「チョークの粉」では、粉が降り積もる機能が新たに追加された。チョークの線を引くときに粉が少しずつ落ちて溝の上にたい積する様子をリアルに再現している(積もったチョーク粉は、黒板消しを使うことで除去できる)。
黒板にグリッドなどの背景画像を表示させることも可能。グリッドの表示色(灰/白/緑)および方眼のサイズ(32ピクセル/64ピクセル)をそれぞれ指定できるほか、「連絡板」の背景も用意されている。さらに、黒板の右端に今日の日付(×月×日)を表示させることも可能。日付はチョークによる描画で、黒板消しで消去できる。
黒板の色のカスタマイズ機能もある。最もポピュラーな暗緑色の「スタンダード」、古い黒板で使われていた黒紫色に近い「クラシカル」のほか、ユーザが任意に色を指定できる「ユニーク」の3種類から選択・設定できる。
黒板上の描画は「撮影」および「ログ記録」で記録できる。「撮影」は、現在の黒板の状態をそのままキャプチャし、画像ファイル(BMP)に保存する機能。機能選択から撮影の実行までに3秒のタイムラグがあり、操作中の場面や粉が落ちる様子などを撮影することもできる。「ログ記録」は、描画している様子を録画(ビデオキャプチャ)し、映像データとして保存できる機能。ログデータは独自形式だが、「AKI 黒板 Nx」で読み込んで、映像を再生できるようになっている。
実際の黒板にはない便利な機能としては(プレゼンテーションツールなどで用いられる)「ページャ」が用意されている。黒板1台(1面)分を「1ページ」として扱い、ページ送りやページ戻しによって、すばやく黒板面を切り替えられる。さらに、画像のプレビュー表示からの指定による「ジャンプ」も行える。例えば「授業やプレゼンテーションにおいてチャートや図解、計算式など、複数の板面をあらかじめ準備し、板面を切り替えながら説明する」といった使い方ができる。