「ザクッとキャッシュフロー」は、

• 毎月の給与振込や生活費、固定費といった定期的な収入・支出
• 予定が決まっている入出金

メイン画面には、操作の流れに沿った四つのモードがあり、ツールボタンで切り替えながら作業を進めてゆく。

1. 口座編集：金融機関の登録および休日の設定、口座の登録
2. 入出金予定編集：入出金予定の登録
3. 残高表：口座ごとの残高を「一覧表」で表示
4. 残高グラフ：各口座の月末ごとの残高推移を「折れ線グラフ」で表示

「入出金予定編集」では、収入・支出別に一覧リストが用意され、入出金予定の「摘要（費目など）」「予定年月日」「出金口座」「入金口座」「金額（円）」などを設定してゆく。口座への入出金のほか、口座間の移動（口座振替）処理も設定できる。

予定日付の入力には、予定年月日を直接入力する方法と、日付の種類（期間や頻度など）をパターン式で入力する方法がある。パターン式は、日付を最小限の手間で入力できるように定義されたもので、多彩な日付指定を行うことが可能。例えば、

• */25：毎月25日
• 80105：2008年1月5日
• Mon/Tue/Wed…：曜日
• _：月末

• >>workday：次の営業日
• <<workday：直前の営業日

集計結果は「残高表」「残高グラフ」で確認できる。残高表は、口座ごとの入出金や残高の記録を預金通帳のような形式で一覧表示する機能。残高グラフでは、各口座の毎月の残高推移が折れ線グラフで表示される。グラフの目盛りは、残高の数値を比例表示した「シンプル」か、出現頻度の高い数値域を広めに表示する「アジャスト」かを切り替えられる。

登録する金融機関ごとの休日設定（例えば、特定の期間を休日または営業日に設定するなど）のほか、予定日が休日になったときの日付の繰り上げ/繰り下げなど、細かな設定によって入出金予定の日付を正確に登録できる。

日付ルールの設定は多少面倒だが、便利なひな型も用意されており、使い方に戸惑うことはないだろう。ひな型を利用すれば、一からパターン式を書くことなく日付設定を行えるし、ひな型を部分的にアレンジして任意の日付に設定することもできる。

さらに、独特のパターン式をマスターすることで、より多彩な日付設定も行え、入力を大幅に省力化できるようになる。例えば、複数行に連続した日付を入力する際に、「毎年同日」「毎月同日」といった入力を行いやすくする省略ルールが設けられている。「80105（2008年1月5日）」に続けて「毎月5日」を入力する場合なら、日を略して月のみを入力（「02/」「03/」……）、同じく「毎年1月5日」を入力するには、月日を略して年のみ（「9//」「10//」）を入力する。このように、直前の行の日付を参照して日付の値を演算し表示するため、2行目以降は省略入力を行えるわけだ。

「貯蓄している口座の金額予測を簡単に知りたい」、あるいは「将来に向けた資金計画を立てたい」という人に、気軽に試してほしいソフトだ。

ソフトのターゲット
自分の用途と照らし合わせて、2タイプのユーザを想定しています。

第一に、スーパーの底値とかレシートを気にしない独身のサラリーマンです。手軽に試算できるので、事前に“瞬間風速的な残高不足”を知ったり、貯金がだんだん貯まってゆく様子を見て微笑したりして、貯蓄に対するモチベーションの高まりを感じていただくことが狙いです。

第二に、取引件数が比較的少ない事業主です。売掛金の入金遅れによるインパクトのシミュレーションが狙いです。「入出金予定画面」で入金の遅延日数を入力し、資金繰りを日単位でシミュレートすることができます。

開発中に苦労した点
最も苦労したのは、4分割可能なスプレッドシートです。ほかにも自作のコントロールを使っていますが、特に手間がかかったのがこの部分です。家計簿/会計ソフトの多くはシートを分割して表示できないので、満足しています。

次に、構文解析と連携した日付の計算です。例えば「『<< 2 hol is sat（二つ前の休日が土曜日）』である日をどのように求めればよいか」というようなことを考えていて、ノートが落書きでいっぱいになりました。

自作コントロールならではの隠れた工夫もあります。「入出金予定画面」で「入金口座」や「出金口座」のコンボボックスをクリックすると、ポップアップメニューが表示されます。通常は選択肢がフラットに並んで表示されますが、実は、登録されている口座の数が30になると、選択肢が金融機関ごとに階層的に表示されます。しかし、口座数が30になることはたぶんないので、「ザクッとキャッシュフロー」に限っては無駄な工夫です。

ユーザにお勧めする使い方
ソフト名の通り、必要なときに大ざっぱに使っていただくのが一番だと思います。一方、「入出金予定画面」で階層の作り方を工夫すると、経費を細かく管理することもできます。例えば「電気代」「ガス代」を別々の項目として作成し、電気代で1枚のシート、ガス代で1枚のシートを使うようにすれば、それぞれの支払実績と支払予定をひと目で見ることができるようになります。

今後のバージョンアップ予定
「手軽に先々の数字を日単位で見る」というコンセプトを守りつつ、使いながら改善してゆきます。