「EIOffice 2007」は、ビジネスアプリケーションの中でも特に利用頻度が高い「ワープロ」「表計算」「プレゼンテーション」の機能が統合されたソフト。一般的なオフィスソフトのように各アプリケーションが独立するのでなく、ひとつのアプリケーション上で異なる3タイプの文書を作成することができる。作成した文書は、ひとつの文書ファイル内にワープロ、表計算、プレゼンテーションの3タイプのデータを保存できるEIO形式のほか、Word/Excel/PowerPoint各形式で保存することも可能。さらにPDFやHTMLへの出力にも対応する。

「EIOffice 2007」では、ワープロ、表計算、プレゼンテーションのそれぞれがマルチドキュメントタイプの独立したウィンドウで表示される。文書は「バインダー」という単位で管理され、ファイルの保存はバインダー単位で行われる。メイン画面には文書編集用エリアのほかに「作業ウィンドウ」と呼ばれるエリアがある。作業ウィンドウ内の「ナビゲーションウィンドウ」に、バインダー内の文書構成をツリー形式で表示させることができる。

バインダー内は、文書のタイプに応じて「ワードプロセッサ」や「スプレッドシート」などのグループに分けられているが、ひとつのバインダー内にワードプロセッサ、スプレッドシート、プレゼンテーションの3タイプを作ることも可能。新しい文書を作る場合には、バインダー内に追加することも、新たなバインダーを作ることもできる。

各アプリケーションのユーザインタフェースは、Microsoft Office 2007以前のものに近い。メニュー項目の表記やツールバーのアイコンデザインも従来のMicrosoft Officeユーザにとって親しみやすいものとなっている。各アプリケーションの搭載する機能には、次のようなものがある。

ワードプロセッサ

• 一般表示、アウトライン表示、印刷プレビューの切り替え
• 日付・時刻、定型文などの挿入
• 多段組み
• 脚注、図表番号、索引、目次などの作成
• 変更の履歴
• 差し込み印刷
• 表の作成
• スタイルの管理

• 並べ替え
• オートフィルタ
• オートフォーマット
• 条件付き書式
• スタイル登録
• 集計
• 統合
• シナリオ
• ゴールシーク
• アウトライン
• ワークシートの分析
• ピボットテーブル
• グラフ/関数グラフの作成
• セル単位でのマルチメディアデータの挿入

• アウトライン表示、スライド表示
• スライドマスタ、配付資料マスタ、ノートマスタ
• スライドのデザインテンプレート
• リハーサル
• ナレーションの録音
• スライドアニメーションの設定

「サイエンスエディター」は一種のクリップアート集で、フローチャート用記号やブロック矢印などの「オートシェイプ」を文書に挿入することが可能。さらに、微積分や行列演算などの数式を簡単に入力するためのテンプレート、物理や化学で使用する記号、実験器具のイラストなども収録されている。

ナビゲーションウィンドウやサイエンスエディタは各アプリケーションに共通して表示できる。ワードアートやグラフ/関数グラフ、オートシェイプなども各アプリケーションに共通して利用することが可能。そのほかにも、ワードプロセッサのスタイル一覧やプレゼンテーションのスライドレイアウトのようにアプリケーション独自のツールもある。

かつてMicrosoft Officeにはバインダーという機能があり、いろいろな文書をひとつにまとめるような使い方ができたと記憶しているが、あれはたしか別途ツールを使って操作する必要があった。それに対し、「EIOffice 2007」ではファイルの作成そのものがバインダー単位で、そのなかにワープロ文書やワークシートを追加してゆく。このため、関連するファイルをフォルダ単位で整理したり、別途プロジェクト管理ツールなどを用意してまとめたりといった手間は不要だ。

もちろん、ファイルを統合的に管理できるという便利さも、個々に十分な機能があってこそ活かされる。「EIOffice 2007」は、ここでは一転して没個性とでもいえそうなほどで、機能もユーザインタフェースもMicrosoft Officeを徹底的に意識していることが窺われる。Officeといっても最新の2007ではなくOffice XPあたりなので、これまでMicrosoft Officeを使ってきたユーザであれば、ほとんど違和感なく操作できるはずだ（少なくとも基本的な機能については）。このあたり、「Microsoft Officeとの高い親和性、互換性を保ちながら、さらに便利な機能を提供する」というコンセプトが色濃く表れているといえる。

また、「EIOffice 2007」はJavaで動作するため、WindowsとLinuxのふたつのプラットフォームに対応していることや、1ユーザで3台のパソコンまでインストールできるパックを低価格で提供しているといった点も魅力だ。

コンパウンドドキュメントを作成する機会の多いヘビーユーザや、ローコストでパソコンを一括導入したい企業などにお勧めしたい。

【理由】　オフィスソフトにおいては現在、Microsoft Officeが市場を独占している状態ですが、製品として決してユーザのニーズを十分に満たすものではありません。ユーザの生産性を高める製品こそがオフィスソフトに必要な要素であると思っています。ユーザのニーズを満たす製品を作ることが私の使命であると考えています。

ユーザにお勧めする使い方
「E.I.O.」の一番の特徴でもあるインテグレーションを有効に活用してほしいと思います。「E.I.O.」は、「アプリケーションインテグレーション」と「データインテグレーション」の二つの要素を兼ね備えています。いままで表計算、ワープロ、プレゼンの三つのアプリケーションは、それぞれのファイル形式で保存することが必要でしたが、「E.I.O.」では、「.EIO」というファイル形式ひとつで三つのアプリケーションデータを統合的に管理することができます。これがアプリケーションインテグレーションです。

データアプリケーションは例えば、ある数字を表計算からワープロにも記入したいとします。通常だとそれぞれに入力するか、リンクを貼って同じ数字になるようにします。Microsoft Officeでリンクで数字を記入した場合、リンク元の数字の場所を変えてしまうと、リンク先であるワープロの数字は変わってしまいます。これはユーザにとって、非常に不便なことです。

「E.I.O.」ならこういった煩わしさはなく、設定した数字を移動してもリンク先として認識しますので、リンク先を変更する必要はありません。これは「E.I.O.」にしかできていない機能ですので、有効活用していただければと思います。

今後のバージョンアップ予定
現在、Microsoft Officeとは比較にならないような優れたオフィスソフトを開発中です。私はこれを「Killer Application」と呼んでいます。といってもMicrosoft Officeのようなさまざまな種類のアプリケーションを入れるということではありません（Microsoft Officeには31種類のアプリケーションが入っています）。私は、現在「E.I.O.」に入っている「表計算、ワープロ、プレゼン」の三つこそが重要なアプリケーションであると思っていますので、上記三つを進化させていくことが、優れたオフィスソフトであるといえるでしょう。もちろんユーザの利便性を高めるアプリケーションは追加を検討しています。