“パーソナル放送局”を実現するためのネットワーク配信ソフト。自宅のパソコンから動画や音楽(音声)、画像などをインターネットに向けて配信できる「Orb」は、常時接続されたパソコン(サーバ)内のファイルを、外出先のノートパソコンなど(クライアント)でストリーミング再生や閲覧をできるようにするソフト。無料で利用できるOrb Networks社のサーバ(MyCasting)を介することで、ドメイン登録やポート設定などの複雑なことを行うことなく、簡単にサーバを構築できる。
利用するには、コンテンツを公開したいパソコンに「Orb」をインストールする必要がある。インストール後、インターネット上のOrbサーバ(MyCasting)に、コンテンツ公開用のアカウントを新規作成する。これで、指定したアカウント名とパスワードを使って、インターネット上の他のパソコンから、「Orb」がインストールされたパソコン内のコンテンツを視聴できるようになる。
公開するコンテンツは、フォルダ単位で指定する。標準状態ではAll Usersと、「Orb」をセットアップしたユーザのマイピクチャやマイビデオといったフォルダが公開対象となる。設定を変更することで、公開するフォルダを追加したり、削除したりすることももちろん可能。「Orb」の対応するテレビチューナボードがサーバ側パソコンに搭載されている場合は、テレビチューナで受信した内容をリアルタイムで配信することもできる(標準ではHauppauge製のチューナボードが推奨されているが、MPEG-2/ハードウェアエンコードタイプのテレビチューナボードであれば認識されるようだ)。
UPnPに対応しており、サーバ側パソコンがルータ経由でインターネットに接続されている場合でも、面倒なルータ設定は必要ない。
コンテンツを視聴するクライアント側には、特にソフトをインストールする必要はない。Webブラウザを用いてOrbが提供するサイト「MyCasting(http://mycast.orb.com/)」へ接続し、作成したアカウントとパスワードを使ってログインすればよい。サーバ側パソコンで公開されているコンテンツ一覧が表示される。
クライアントには、Windowsベースのパソコンのほか、Windows Mobileベースのスマートフォン、プレイステーション・ポータブル、WiiやPLAYSTATION3などのゲーム機も利用できる。
クライアント側に表示されるコンテンツ一覧には、自宅のサーバで公開設定されているもののほか、世界中にある約100局ものインターネットテレビのチャンネルが登録されており、自分で作成したもの以外にも、さまざまな内容のコンテンツを手軽に楽しめるようになっている。さらに、YouTubeやGoogleビデオなど、通常はスマートフォンでの視聴が難しいインターネット動画でも、「Orb」を使えば視聴することが可能だ。
公開されるコンテンツには、サーバ側で「評価(レーティング)」を付けて、評価の高い順や再生回数の多い順など、順序づけた分類表示を行うことが可能。ユーザ独自のタグ付けによる分類表示も可能だ。
コンテンツは、あらかじめ登録した他のアカウントやコミュニティサイト「MySpace」へ公開することもできる。作成したコンテンツを複数の友人へ公開する、といった用途にも使える。