「忘却曲線理論」にもとづいて、英単語などの“暗記系”学習を効率的に行える暗記補助ソフト。「Parthenon」は、外国語の単語・熟語や、大学受験の歴史・地理など“暗記型”の学習を効率的に行えるソフト。忘却曲線理論により、ユーザが忘れないように記憶を定着させることに優れる。「Parthenon」の指示に従って学習を進めることで、効率的に内容を暗記することが可能だ。
人間の記憶というのは残念ながら「すぐに忘れる」ようにできているらしく、記憶したものを忘れないようにし、すぐに思い出せるようにするまでにはある程度の時間がかかる。繰り返し学習が効果的ということは科学的に明らかなものの、どのタイミングで反復学習を行えばよいかの判断は難しい。「忘却曲線」は、そうした判断の重要な指標となる。
しかし、指標をユーザが意識しながら学習するのは非常に大変で、手間も掛かる。そうした「いかに繰り返すか」の部分をソフト側に任せてしまえば、ユーザは出される問題をひたすら解いてゆくだけで記憶が定着する。ここに「Parthenon」のよさがあるといえる。
前置きが長くなったが、「Parthenon」は忘却曲線を活かした学習が行える点が最大の特徴だ。ユーザが忘れたころを見計らって問題を出してくるようになっているため、必要最小限の時間で確実に暗記できる。ユーザは、何も考えずにただ問題を解いてゆくだけでよい。
デフォルトで用意されているデータは、「TOEIC 英単語 3000」「TOEIC 英熟語 1000」「大学受験 英単語 2300」「イタリア単語 9000」の四つ。各データの継続利用は有料だが、「Parthenon」本体の利用は無料となっている。ユーザが独自に問題データを作成することも可能で、その場合は無料で利用できる。上で挙げた四つ以外にも多数の問題データの販売が予定されているようで、学習ファイルの管理画面で確認できる。語学系だけでなく、大学受験用の国語や歴史などのデータもあるようで、今後に期待したいところだ。
利用したい問題データを選択すると、学習用の画面に移行する。1回の学習につき何問解くかは、あらかじめ指定しておける。学習画面では、上半分に問題と解答が、下半分に忘却曲線が表示される(忘却曲線のデータは単語ごとに個別で設定されている)。
デフォルトで用意されている英単語の問題データの場合は、英単語の意味が日本語で表示されるので、該当する英単語を三つの中から選ぶ。設定により、英語の意味を見て日本語の選択肢を選ぶ方式に変えることもできる。問題に正解すると、単語の習熟レベルが少しずつ上がってゆく。何度か学習を繰り返した単語は難度が上がり、直接単語をキーボードから入力する解答方式になることもある(オプションでOFFにすることも可能)。
問題がどうしてもわからないときのためにヒントを表示する機能もある。【半角/全角】キーを押すと、解答がうっすらと見えるというもので、見えやすさをユーザが指定できる。そのほかのオプションとして、解答の制限時間や選択肢表示までの時間などを指定することも可能だ。
1回分の問題をすべて解き終えると、出題された問題を復習するための「クイックレスポンス式トレーニング」が行える。このトレーニングは、瞬間的に表示される英単語に対する日本語の意味を頭の中ですばやく思い浮かべるというもの。自己採点方式なので、むしろあまり集中せずに“無意識のうちに単語が頭に浮かぶ”ようなイメージで学習するのがよいだろう。オプションで、表示する文字の字体を変えることができる。
「Parthenon」では、基本的に1日1回の学習を毎日継続するのがベスト。継続しての学習を促すために、さまざまな機能が詰め込まれている。その代表が「Cosmos」機能で、1単語をひとつの星に見立てて、画面全体に星空を描き出す。各単語の習熟レベルを上げれば上げるほど星が輝くので、学習状況が視覚的にわかると同時に、学習意欲の向上に繋がる。
そのほかにも、9種類のスキンによって画面の見た目を変えたり、タイピング時に鳴らす音を変更したりもできる。学習を進めることで、出題画面の右上に表示される絵の絵柄が変わるといった細かな演出も用意されている。こうした「学習意欲の継続」を徹底的に意識したシステムには好感が持てる。インタフェースや画面デザインも秀逸で、わかりやすく、かつ使いやすいものに仕上がっていると感じた。
英単語の学習はもちろん、暗記系の学習で苦戦している方々にぜひお勧めしたいソフトといえる。まずは一度、実際に触ってみることをお勧めする。忘却曲線理論の威力と、ユーザの学習を後押しする配慮が感じられるはずだ。
(田中 剛健)