ひたすら一桁同士の足し算を繰り返す「高速暗算」学習ソフト。正解/不正解によって各問題の解答制限時間が変動する。「TashizanBomber」は、すばやい暗算能力を鍛える計算学習ソフト。出題される問題は「2+4」「5+7」といった一桁同士の足し算のみで、繰り上がり計算ができるならば小学生でも利用できる。
起動してスタートボタンを押すと、数式が画面上部から下方向に降りてくる。解答は、画面下部の床(茶色で示される部分)に問題式が接触する前に行う必要がある。床にぶつかると制限時間オーバーで不正解扱いとなる(もちろん時間内に答えられても誤答したら不正解だ)。
解答入力用のボタン類は画面下部にまとめられている。入力方法は二つあり、数字が書かれたボタンをクリックする方法と、左下の数字入力ボックスに値を直接キー入力する方法だ。どちらの場合でも、最後に「OK」をクリックしなければ入力が確定しないので、キーボードのみでの操作・入力はできない。「OK」ボタンもスペースキーや【Enter】キーで代用できればキーボードだけで操作できるのだが、それができない点は残念。
問題に正解し続けると、途切れなく次から次へと計算式が降ってくる。その上、降下速度も上がるため、床に接触する可能性がどんどん高くなる。一方、解答が不正解の場合は、数秒間答えが示されたあと次の問題に移る。不正解では降下速度が下がり、あわせて床の位置が大きく上昇する。せり上がった床は、問題に正解することで位置を下げることが可能だ。
問題数は全部で100問あり、正解/不正解にかかわらずすべて解ききるとクリアとなる。クリア後、100問中何問正解したかが示される。100の数式がすべて出題される前に、床が画面の一番上まで上昇してしまうと途中で終了してしまう。
一桁の加算のみと問題が簡単なため、クリアすること自体は難しくない。ただし、100問すべてを正解しようとすると多少手こずるだろう。なぜなら「正解し続けると下降速度が上がる」から。速度の上限は決まっているようで、ある程度の速度以上にはならないのだが、最高速で問題を解き続けるには高い集中力が必要だと思う。ちなみに筆者は何度挑戦しても1〜2問ミスしてしまう。どうやら集中力が足りないらしい。
暗算は「繰り返し学習」が大事だとよく言われるが、筆者の場合「TashizanBomber」をやっているとそれが如実に感じられる。理由は明確でないが、おそらく「100問という問題数」が絶妙なのだと思う。最初は「100問は多いのでは」と感じたものの、実際にはスピード感があるためか、さほど気にならなかった。しかも100問も計算をしているとついミスをしがちで、「全問正解できずに悔しい」という思いが再挑戦の動機となり得る。こうして繰り返しているうち、少しずつ計算速度が上がってゆくのが自分でもわかるのだ(しかし精度は上がらない……)。
見た目はシンプルで、取り立てて複雑な機能はない。しかし、こと「学習」という点においては効果を発揮すると思う。インタフェースがシンプルであるがゆえに小さな子でも扱えるはずなので、そうした方たちにもぜひ触れていただきたいソフトだ。
なお、今回紹介した「TashizanBomber」の姉妹品として「HikizanBomber」「KakezanBomber」「WarizanBomber」(いずれもWindows用)がある。その名の通り減算、乗算、除算を学習できるもの。Macintosh版もあり、「TashizanBomber」以外は作者のWebサイトでのみ公開されている。
(田中 剛健)