音当てクイズによって絶対音感の有無を測定できるソフト。聞こえた音の音名を解答することで、音感の精度を確認できる。「絶対音感テスト」は、ユーザがどの程度の「絶対音感」を持っているかを測定するためのソフト。「絶対音感」とは、簡単にいうと「音を聞いただけで音名がわかる」能力のこと。音名の判定は音楽だけにとどまらず、例えば電車の踏切の音を聞いて瞬時に「ラ音に近い」(もちろん踏切ごとに若干異なるだろうが)ことがわかる、といった具合だ。絶対音感は音楽能力の指標としてしばしば使われるが、絶対音感を持っていなければ音楽の能力がないかというと、そうでもない。必ずしも「絶対音感がない=音痴」というわけではないのだ(当然、ある程度音を聞き分けられる能力を持っている方が望ましいのは確かだが)。
「絶対音感テスト」は、白鍵(ド、レ、ミなど)七つと黒鍵(ド#、ミ♭など)五つの音をすべて使って行われる(初期設定の場合)。音域は6オクターブ分と幅広い。開始すると、はじめに45秒ほど適当な音程でピアノの単音が流れる。45秒間は問題が出されるわけではないので、「ただ聞くだけ」でかまわない。45秒が経過するとダイアログが表示され、いよいよテストがはじまる。
テストは32問からなる。白鍵の問題はそれほど難しくはないが、黒鍵が混ざると難易度が上がる。白+黒鍵では音が細かく区切られるため、非常に高い精度の音感が必要となるからだ。
32問の解答が終わると結果が表示される。デフォルト設定における正解率を見ることで、ある程度の音感傾向がわかる。正解率が高い人は絶対音感の持ち主、正解率が低いと「相対音感(特定の音と聴音の差を利用して音を判別する能力)」の持ち主ということになる。readme.txtによると、正解率によって4パターンに大きく分類できるとのこと(以下、説明書から抜粋)。
- 14%以下:「相対」音感の持ち主です。0%に近いほど、より強い「相対」音感の傾向があります
- (15%〜)49%以下:絶対音感の持ち主です。小さい頃からピアノを習っていた人に多いです
- (50%〜)79%以下:ほぼ完全な絶対音感の持ち主です。楽曲をオリジナル・キーで歌わないと気持ち悪いと感じる人です。コップの音や踏切の音も、音名で聞こえたりします
- 80%以上:どんな音でも瞬時に音名がわかる完璧な絶対音感の持ち主です。幼少期にバッチリ身についたものと推測されます
筆者が何度か試してみた限りでは、意図的に「相対音感を用いた解答が行えない」ように出題の順序が工夫されているように感じた。出題前の45秒間のインターバルも、適当な音列を聞くことで頭の中を空にする効果があると考えられる。こうした部分は“絶対音感を測定する”というソフトの本質をしっかりと体現していて、とても評価できる。テストの難易度調整機能を備えており、問題数、出題される音域、出題確率の平準化、各音名ごとの出題率などを指定できる。出題率は百分率で細かく指定でき、「白鍵の音だけ」「指定した数種類の音だけ」を出題するような設定も可能だ。
細かな設定方式だけでなく「プリセット設定」も用意されており、クリックひとつで難易度を調整できる。デフォルト設定(最も難易度が高い)から、出題音域を絞ったやさしい設定まで5段階に分かれている。そのほか、「音列指定」により出題する音列も(順番も含めて)あらかじめ指定できる。苦手な音名を集中的に学習したい場合に便利だ。
(田中 剛健)