三国志演義の世界を舞台にした四字熟語学習ソフト。プレイヤーは諸葛亮となり、敵の台詞から推測される四字熟語を答えてゆく。語札の収集による“やり込み”要素もある。「漢国志 〜漢字の三国志〜」は、四字熟語の意味から熟語を推測・解答する学習ソフト。舞台となるのは三国志演義の世界で、主役は蜀の知略担当としておなじみの「諸葛亮孔明」。プレイヤーの目的は、劉備軍の軍師にあたる諸葛亮の「知略」を活かして戦いを勝利に導くことだ。
物語はステージ単位で区切られており、1ステージにつきひとりの敵将が出現する。敵将たちは、さまざまな策略や陣形によって諸葛亮に攻撃を仕掛けてくるが、その際なぜか策略にあたる四字熟語の「意味・語源」を宣言する。意味や語源から該当する四字熟語がわかれば、相手の策略を見抜いて反撃できるという仕組みだ。筆者は、「四字熟語の学習」と「三国志」という、まるで繋がりそうもない二つの要素をしっかりと組み合わせて理由付けしている点が気に入った。無意味に三国志の世界観を利用していない点に好感が持てる。
敵味方とも、「士気」「兵力」「兵数」といった三つのパラメータがあり、正解した場合は敵将の三つの値が、誤答の場合は自軍の三つの値がそれぞれ減少する。何度も反撃を繰り返して、敵の勢力や士気を一定まで削ぐことができればステージ勝利となる。ただし、どの程度まで削れば敵が撤退するかなどの条件がわかりづらいため、この点はもう少し明確に説明があればよいと感じた。
お助け要素として、蜀の将軍「麋竺」や「簡雍」からヒントをもらうことができる。ヒントは1問につき1回限りで、二人のうちどちらからヒントを聞くかは選択することが可能。ただし、確実にヒントをもらえるわけではなく、運が悪いと「自分で考えろ」と突き放されることも……。
各ステージは、諸葛亮が演義で活躍したとされる戦いがモチーフとなっているため、三国志ファンにはたまらない作りとなっている。例えば序盤のステージでは、博望坡の戦いにおいて李典や夏侯惇が敵として登場するといった具合だ(もちろん台詞回しやフェイスグラフィックまで史実通りというわけではないが)。
やり込み要素もある。ステージをクリアするたびに「語札」と呼ばれるアイテムが入手できる。ステージ1回のクリアにつき4枚、解答を一度も失敗しない、助言を使用しないといった状態でクリアするとそれぞれ4枚の札が追加される。「語札」には漢字1字が書かれており、4枚の札を組み合わせることで「四字熟語」になる。入手した札は、タイトル画面の「語札鑑賞」から確認することが可能。札は、総数で300枚以上用意されているため、コンプリートには相応のやり込みが必要だ。
システム自体は非常によくできており、完成度は高い。シナリオは少なめで、ほとんど戦闘パートのみで進むため、三国志演義を知っている人もそうでない人も楽しめる作りといえる。「漢国志」ではステージごとに「漢検」の級を意識して問題分けがされているようなので、漢検を受ける人にとっても有効だ。
強いて問題点を挙げるとすれば、問題数が少ないせいか「同じ問題が複数回出題される場合がある」ということ。もちろん「学習ソフト」として考えるなら現在の語数は適量で申し分ない。ただし、「ゲームソフト」として見た場合、複数回の出題は興ざめする要因になり得るとも思う。もう少し登録単語を増やすか、ステージ数を絞るといった手を打つことでさらに楽しくなると思うのだが、いかがだろうか。
(田中 剛健)