指定した「観測地」「日時」にもとづいて星空を表示する天体シミュレータ。惑星の動きを時系列で示したり、星座/惑星/月の出没時間をグラフ表示したりといったことも可能。「星空の軌跡 Pro」は、指定日時・地点の星空をパソコンで描き出す天体観測用のシミュレーションソフト。「6等星までの恒星」「(冥王星を含む)九つの惑星」「太陽」「月」の表示に対応している。
使用するにあたり、まずは観測地を決める必要がある。観測地はプルダウンメニューから選択する方式で、リストには日本の主要な都市が並んでいる(海外都市は登録されていないため、シミュレートは行えない)。基本的に、観測したい場所から最も近い都市を選択すればよい。
機能は大まかに分けて四つあり、
となっている。「星座早見盤」は基本となる機能で、観測地と日時を指定することで指定した時点の星空を表示するもの。天の表示は「全天」のほか、東西南北の各方向のみを指定することが可能。オプションで「経度/緯度」「赤道/黄道」「星座名」「星座線」の表示/非表示を切り替えることができる。一部の惑星は、表示時に「満ち欠け」や「遠近」が再現される。「遠近」は、表示している球が大きいほど近く、小さいほど遠くに離れているといった具合に示される。月は「満ち欠け」のみ、火星は「遠近」のみ確認可能。水星と金星では「満ち欠け」と「遠近」の両方を確認することができる。
「出没時刻表」は、「恒星」「惑星」「月」といった星が「×月×日」の「×時〜×時」のタイミングで見られるかを示すもの。調べたい星を選択するとグラフが表示され、
- 星が出ていて、太陽が沈んでいる(観測可能)
- 星も太陽も出ている(月と一部惑星のみ観測可能)
- 星も太陽も沈んでいる(観測不可)
- 星が沈んでいて、太陽は出ている(観測不可)
の4パターンで細かく色分けされる。グラフを直接クリックすると、クリック個所の日時の星空が表示される。グラフは1ヵ月単位で表示され、他の月に切り替えることもできる。「太陽系ビュー」は、太陽系惑星同士の位置関係を示すもの。側面と上面の二つの視点で描かれる。各惑星が太陽からどの程度離れた位置にあるかがわかるため、観測しやすい日を探すのに最適。「星座早見盤」と同様に、一部惑星の「満ち欠け」「遠近」も示される。
「惑星の動き」は、指定した期間における惑星の位置や移動軌跡を示すもの。冥王星を含む九つの惑星すべてに対応する。
名称が「星空の軌跡」というだけあり、星の動きを“軌跡”として追うことに特化した機能が多くある点が特徴だ。天体シミュレータなので、表示されている星をただ眺める「プラネタリウム」的な使い方ももちろん可能ではある。とはいえ、星の動きを追うシステムが搭載されていることを考えるに、学習や天体観測の実地資料として使うのが“正しい用途”なのだろう。
作者のホームページでは、ソフトの使い方をチュートリアル風にまとめた「水星の観測に挑戦」「火星の接近を狙う」という記事が掲載されている。上で紹介している各機能を連携させた使い方が書かれているので、とても参考になる。うまく使いこなすことで、星空の観測に威力を発揮しそうだ。
(田中 剛健)