化学で用いられる元素周期律表(周期表)を学習するためのソフト。タイピング練習ソフトの要素も備え、元素記号をすべて入力し終えるまでの時間をランキング表示する機能がある。「周期表暗記支援ソフト」は名前の通り、周期表の暗記を支援する学習ソフト。元素番号1の水素から、109のマイトネリウムまでに対応する。ルールは非常にシンプルで、元素番号が小さい方から順に元素記号をキータイプし、周期表を埋めてゆくだけ。元素記号の暗記とともに、タイピングスピード向上の練習にもなる。全109ある元素記号をすべて入力し終えるまでのタイムが記録され、そのうち上位3回分がランキング表示される。
周期表表示はON/OFFを切り替えられる。ONの場合は、元素記号が埋まった状態での表示となる。番号・日本名のほか、分類(典型非金属/典型金属/遷移金属)と、常温における状態(固体/気体/液体)がグラデーション付きの色で示される。すべての元素を把握しきれていないうちは、まず表示ONの状態で大雑把に覚えよう。ただし、ONのままでは暗記のためのタイピングを行うことができない。
周期表表示をOFFにすると、元素が入るべきブロックだけが表示される。「スタート/ストップ」ボタンを押すと暗記モードがはじまり、タイムカウンタがスタートする。109の元素記号をすべて入力し終えた段階でカウンタが止まり、時間が記録される。
暗記モードでは「H」「He」「Li」……というように、元素番号が小さい順に元素記号を入力してゆく(大文字/小文字は区別されない)。解答の判定は2文字入力した段階で行われ、2文字の元素記号であれば【Enter】などのキー入力なしですぐに次の問題に進む。ただし1文字の元素、例えば水素の場合では、【H】を入力したあとに【Enter】やスペースキーを押す必要がある。
入力した解答が誤っている場合は、一瞬だけ正しい解答が示されたあと、周期表の該当箇所が“×”マークに切り替わる。正誤にかかわらず、解答を入力すると次の問題にどんどん進み、109番目の元素記号まで一気に進む。そのあと、×マークになっているものを再度解答するよう求められる。何度誤答してもペナルティはないが、全問に正解するまでタイムは記録されない。
1〜7のPeriod(周期)ごとに学習する機能も備えている。109の元素を一度にまとめて覚えるのは難しいため、最初はPeriod単位で学習してもよい。
「周期表」は、規則性云々を理解するよりも、まず番号順に元素をひたすら覚えてしまう方が効率がよいとされている。中学・高校時代に暗記で苦労したという方も多いだろう。俗にいう「すい・へー・りー・べー」のアレである。とはいえ、意味を理解しがたい100以上の元素記号を暗記するというのは、なかなか難しいものだ。
ところが、「周期表暗記支援ソフト」で繰り返し学習すると、自然と“指先”が文字を紡ぐようになる。なぜかは筆者もよくわからないのだが、推測として「タイピングスピードを意識することでキータッチにリズム感が生まれる」からではないかと思う。リズムよく元素記号を頭に浮かべると「記憶」として根付きやすいのではないだろうか。そう考えると、「周期表暗記支援ソフト」は実によく計算されたソフトだということになる。
(田中 剛健)