次々と出題されるかけ算をひたすら解いていく、かけ算学習ソフト。最大段数は64まで。暗算だけで解答するのは非常に難しい。「NIGHT-WALK 〜月夜の散歩〜」は、出される“かけ算”の問題を次々と解いていく、ゲームライクな暗算練習ソフト。難易度は3段階に分かれ、EASYでは12段まで、NORMALでは24段まで、HARDでは64段までのかけ算が出題される。暗算で解く場合、EASYでは144通り、HARDでは何と4,096通りのパターンを覚えておく必要がある。
スタート画面では、難易度と“LIFE”の数(1〜5)を選択できる。LIFEは「何回までミスできるか」を示すもの。誤答するたびに1ずつ減少し、0になるとゲームオーバーだ。LIFEの数が多ければ多いほど、難易度は下がると考えればよい。
ゲームを開始すると、画面中央に帽子をかぶった小さなキャラが現れる。画面下部に表示された問題の解答を数字キーで入力し、【Enter】かスペースキーを押すと答えが判定されて、正解の場合はキャラが右方向に進む。【Enter】キーではキャラがジャンプし、スペースキーではジャンプしない。また、解答時間が速ければ速いほど、速度も上がる仕組み。出される問題に次々答えることで、キャラの移動速度がグングン上がっていく。
逆に、なかなか答えられないと速度が落ちていく。それでも答えられずにいると、焦れたキャラが吹き出しで解答を教えてくれる。吹き出しの解答を見て、数値を入力すれば“誤答”扱いにはならない。ただし、4回教えてもらうたびにLIFEが1減少する上、恥ずかしいような悔しいような情けないような、何ともいえない気分にさせられる。
マップには星形のアイテムが落ちていて、星を100個集めるとLIFEが1増加する。また、“星”の数によって最終スコアが少しだけ変わる。星は地面だけでなく空中に浮いているものもあるので、位置によっては【Enter】キーによるジャンプで取る必要がある。【Enter】キーを押す長さでジャンプの高さを変えられるので、いろいろな押し方を試してみるとよいだろう。地面の星だけでなく、ジャンプ(解答)のタイミングを合わせて空中の星を多く取ることが、ハイスコアを得るコツだ。やり込み派の人は、スコアではなく、「星をどれだけ獲得できるか」を競うのもおもしろいと思う。
個人的にお勧めなプレイスタイルが、LIFE1での「EASY」モード。EASYとはいっても「九九」だけでなく、10〜12の段の問題も登場するので侮れない。多くの人が11の段、12の段の問題が出た瞬間に固まってしまうだろう(かくいう筆者も最初のプレイで固まった)。しかも、1回でも誤答すると即座にゲームオーバーとなるので、緊張感を持って楽しめる。「星を100個集めるまでは慎重に……」といったチキンなプレイ(!)は御法度としたい。
EASYモードでは、「11×12」「12×9」といった“九九以外の問題”をすばやく答えられるかどうかがカギとなる。何度かゲームを繰り返すうちに、「132」「108」という解答がスラスラと出てくれば、しめたもの。EASYで飽き足りなくなってしまったら、NORMAL、HARDとステップアップしていくとよいだろう。
多くの人とスコアを競える環境がある場合は、NORMALモードのLIFE3〜5の設定でプレイするのもおもしろい。NORMALやHARDでは、暗算ですぐに答えを出せない問題が多いため、短時間で決着をつけられる。
ソフトの基本的な部分は完成形といっていい出来栄えで、教育用ソフトとしては申し分ない。ただ、“ゲーム作品”という視点で見ると、プレイできるモードの少なさがやや気に掛かる。三つのモードは単に難易度が違うだけで、ゲームシステムのバリエーションは実質ひとつしかない状態だからだ。作者の方もREADMEで書いている通り、ランキングシステムや「一定問題数を解くモード」の搭載が待たれる。こうした部分が強化されれば、さらにおもしろいソフトになると思うので、実装を切に願う。
(田中 剛健)