手軽に使えるカード型データベースソフト。煩雑なデータベース設計は不要。項目名を登録するだけで使うことができる。一方、機能は多彩。数値の合計や平均を求める集計機能、表形式でデータを表示するクロス集計など、高度な機能を備えている。「TCARD for Windows」は、軽快に動作する手軽なデータベース。本格的なデータベースでは当たり前となっているデータ形式や精度(桁数)指定などの設定は不要。項目名を登録するだけで、メモ感覚で使いはじめられる。データはカード形式(1画面に1件分のデータを表示)のほか、一覧表形式での閲覧が可能。基本操作は一般的なカード型データベースと同様。ツールバーのボタンを使って1枚ずつカードをめくるように移動したり、先頭や末尾のカードへ移動したりできる。
検索機能では、特定の項目から指定文字列を順次検索できるほか、マークを付けておいたカードを抽出することが可能。条件に一致したカードだけを抽出する「絞り込み」機能もある。抽出されたカードを対象に、AND/OR条件で絞り込みや追加も行える。また、通常の絞り込み以外に、検索結果から新しいファイルを作成する「抽出−検索語」機能、特定の項目名だけを持つ新規ファイルを作成する「抽出−項目」機能といったものも用意されている。
並べ替えでは、カードの登録順そのものを入れ替えられるだけでなく、必要に応じて表示順だけを変える「整列」機能がある。「整列」では、特定の項目名で並べ替えるもの(単に「整列」という)と、複数項目をもとに並べ替える「複数キー整列」を利用できる。
集計機能も充実している。
- ある項目中に同じデータが何件あるかを調べる「件数集計」
- 数値データの合計や平均から、分散や標準偏差まで計算してくれる「合計と平均」
- 一覧表形式時に選択した範囲だけを計算する「選択範囲の合計と平均」
- 項目別の集計を簡単に行える「集計」
- データを表計算ソフトのような集計表形式に変換して表示する「クロス集計」
など、さまざまな方法での集計が可能だ。操作面では“メモ感覚の手軽な操作”が特徴だが、項目のプロパティを指定することで入力の簡略化や自動処理も可能だ。項目のプロパティでは、項目名のラベルやテキストボックスの位置、大きさなどを指定できるほか、IMEのON/OFFの制御、表示する初期値なども指定できる。項目タイプを「画像プレビュー」に設定すれば、画像の表示も可能。標準でBMP/GIF/JPEG/PNG/TIFFに対応する。Susie Plug-inに対応し、ブラグインを導入すれば対応形式を増せる。
さらに、項目をドロップダウンリストから選択する形式にしたり、他のファイルの項目を参照し、関連するデータを呼び出したりといったリレーショナルデータベース的な使い方もできる。
作成したデータベースは.tcvsという拡張子を持つファイルに保存される。ファイルの実体はカンマ区切り(CSV)形式で、テキストエディタなどで簡単に編集できる。もちろん他のアプリケーションとの連携も容易だ(実際にはデータ用ファイルのほかに、項目の長さなどを記録したTCVというファイルも作られる)。
印刷はカード形式、一覧表形式、タックシールの3種類から選択することが可能。一覧表形式では罫線の有無や太さを、カード形式ではカードごとに改ページするかどうかを指定できる。タックシールでは、シールの縦横の大きさや印刷開始点までの距離などを指定できるようになっている。
そのほか、複数のパソコンから同じデータを参照する際に上書きを防ぐための排他制御オプション、データのHTML出力機能、データをWebブラウザから検索できるようにHTMLファイルとCGIスクリプトを出力する機能、テキストエディタなどの外部プログラムを起動する機能、XML/RTF形式などに対応したエクスポート機能などを備えている。