さまざまな人々の視点から大陸の危機が描かれる、ストーリー重視の長編ファンタジーRPG。「Return to Farland」は、主人公が二つの世界を旅するファンタジーRPG。主人公が住むのは「はるか昔に死んだ神が竜となった」という言い伝えが信じられる「ダスト」と呼ばれる世界。もうひとつの世界は、封印族と呼ばれる魔力の強い人々が住むダストの上位世界「ファーランド」だ。
主人公の青年「ジャレット」は元孤児。ダストのハーグローブ王国国王に引き取られた経歴を持つ。ジャレットはすくすくと育ち、若くして国に仕える竜騎士団の副団長にまでなる。ところがある日、ダスト世界を守っているといわれる「伝説の5頭の竜」の1頭が殺される。同時に、温厚なはずのモンスターや、もはや姿を見せなくなった伝説のモンスターが出現するという事件が起こる。さらに、事件発生とともに不吉な夢を見ることになった主人公は、事件の真相を探るため、ダスト世界に散らばるほかの「竜」の安否を確認するために旅立つ……。
ストーリー性の高さと多数の個性的なキャラクタがゲームの大きな特徴。ゲームは、主人公のジャレットと、ジャレットの幼なじみで同じ竜騎士団の副団長「パット」、同じく幼なじみで魔法研究所研究員の少女「アリシス」の3人のパーティを中心に進められる。さらにゲームの途中からは、謎の盗賊団「アイザックス」、謎の失踪を遂げたナユタ村唯一の生き残りの少女のパーティ、ダスト世界よりも高位の世界ファーランドからやって来た、竜を探す謎の集団「ギガンテス」の各パーティがストーリーに絡んでくる。
ゲームを進めてゆくと、特定のイベントによってパーティが強制的に切り替わる。このため、プレイヤーは複数の視点からゲームの複雑な世界を理解し、ストーリーを追うことができる。さらに、パーティの編成を自分で決定できるようにもなる。イベント量の多さも特徴で、ゲーム内では非常に多くのイベントが用意されている。
一般的にストーリー重視のゲームは戦闘難易度が低いことが多い。しかし、「Return to Farland」の戦闘難易度は少々高めだ。特に最初からレベルが低めに設定されている主人公率いるメインパーティでの進行時は、序盤に登場する敵も意外に耐久力が高く、何度か攻撃しないと倒れない。
戦闘は一般的なターン制を採用。戦闘がはじまると、敏捷性の高いキャラクタから1回ずつ行動できる。武器を使用した一般攻撃のほか、特殊攻撃を選択することも可能。特殊攻撃では、「SP」を消費して必殺技や魔法などを利用できる。強い敵も多いため、ゲームでは「逃げる」ことも重要。ただし、特定の確率で逃亡を失敗することもあるので、注意が必要だ。
「Return to Farland」ではセーブできる場所が限られている。街やダンジョンを移動するためのワールドマップ、ダンジョン内に設置されたセーブポイントでしかセーブを行えない。ダンジョンは意外に広いことが多く、セーブポイントは通常ダンジョン内にひとつしか用意されていないことが多い。ダンジョンへの突入には注意が必要だ(作者のホームページではセーブポイントを増やせるパッチ「EZバージョン」をダウンロードできる。どうしてもダンジョンで苦戦する場合は、パッチを利用するのも手だ)。
ストーリーはほぼ一本道だが、さまざまな隠しイベントやお楽しみが隠されている。本編内でも各キャラクタの過去が明かされるが、イベントによっては特定の場所や行動をとらないと明かされない過去なども出てくる。ゲーム後半になると、空を飛べるようになる飛翔帆船が手に入り、移動可能な範囲がぐんと広くなる。飛翔帆船を使用して、隠しダンジョンを見つけることも可能だ。隠しダンジョン内の敵は非常に強く、ダンジョンはかなり広い。RPGの戦闘好きにはうれしいイベントだ。
ゲームには、アイテム収集要素の側面もある。「詩人フライセルの遺稿」をはじめとした特殊で、見つけるのが難しいアイテムが用意されている。見つけた場合はアイテムと引き換えに特殊な装備を手に入れることが可能だ。