手軽に使えるインタプリタ言語。付属エディタを利用してスクリプトを書くだけで、アプリケーションを作成できる。BASIC風のシンプルな言語仕様で、「プログラミングは初めて」という人の入門用に適する。「Hot Soup Processor(HSP)」は、Windows上で動作するスクリプト言語の一種。条件分岐やサブルーチン呼び出し、複雑な計算といった高度な機能に対応し、「プログラミング言語」と呼んでもよいレベルにある。新バージョン「3.x」では、シンプルでわかりやすい前バージョン「2.x」の特徴を活かしながら、文法体系の見直しが図られ、より高度なプログラミングが可能になった。前バージョンでは存在しなかった機能も多数搭載された。
新バージョンでは、さまざまな強化が図られた。大きな変更のひとつは、呼び出し元に値を返す「関数」に対応したこと。他の高級言語で使われる関数同様、計算式の中で使用することが可能で、単純なサブルーチン呼び出しに比べ、遙かに柔軟な使い方ができる。前バージョンではこの機能がなく、システムから値を取得するなどの機能は「命令」で実装されていたが、関数を呼び出すように改められた。
従来は、「値」として整数値しか扱うことができなかったが、64bit精度の実数計算に対応した。基本的な算術演算関数にも対応し、「HSP」を計算分野にも利用できるようになった。計算式の評価では、従来は演算子にかかわらず左から右への評価だったが、演算子の優先順位の概念を取り入れることで、より自然でわかりやすい形での式の記述が可能になった。
配列機能では、従来は「HSP」独特の配列記述方法が用いられていたのに対し、「3.0」では「変数名(1)」のようなBASIC言語風の記述になった。これにより「変数名(a+1)」のような、計算式をともなう添え字も可能になった。もちろん「変数名.1」といった従来表記も利用することが可能で、添え字として数値以外の文字列も指定できる。perlやJavaScriptにおける「連想配列」のような使い方をすることが可能だ。
さらに、プログラムの論理構造では、ネスト制限の撤廃や、再帰モジュールへの対応、ローカル変数の概念の導入など、より構造化プログラミングを重視した言語仕様に変わった。
もちろん、Windows環境との親和性は高い。従来同様、BMP/JPEGなどの画像の表示、WAV/MIDIなどのサウンドの再生、AVIなどの動画の再生も「HSP」から行うことが可能。COMオブジェクトに対応することで、「HSP」の中から自由にモジュールを呼び出せる。
ユーザインタフェースでは、「HSP」の文法に特化されたエディタ「HSPスクリプトエディタ」が使いやすい。「HSPスクリプトエディタ」は、プログラムを編集するだけでなく、HSPスクリプトのデバッグ機能やコンパイル機能を搭載し、スクリプトをコンパイルして単体のEXEファイルを作り出すこともできる。
「HSPTV」ブラウザは、「HSP」のオフィシャルポータルサイト「HSPTV」に接続し、各種プログラムをダウンロードできるブラウザ。サンプルプログラムや実用プログラム、ゲームなどを検索、ダウンロードして実行できる。