コミカルな会話が楽しいファンタジーRPG。テンポのよいストーリー展開と、難易度が高めで、戦いがいのある戦闘システムが特徴。「PUNCH!」は、子どもの姿にされた老婆と、騎士見習いの女性が主人公の長編RPG。舞台は、善を司る「天使」と「聖母さま」が広く信仰されている世界。一方、「悪魔」は悪を司るといわれ、人々から忌み嫌われている。天使と聖母さまは宗教上の存在だが、悪魔は「幽冥界」と呼ばれる世界に実在し、徐々に人間界に進出してきていた。
この世界で騎士を目指している主人公の女性「アザミ」は、騎士選抜会の最終選考まで残ったが、惜しくも落選。その帰り道、老婆が悪魔に追われている場面に遭遇した。悪魔は目撃者の口を封じようとアザミを攻撃し、彼女を庇った老婆が「物言わぬ者」の魔法で子どもの姿にされてしまう。「騎士とは他人のために自分が犠牲になることを厭わない者」という信念のもと、アザミは“元”老婆の「ホルン」を元の姿に戻すため、ともに悪魔を探すことを決意する。
ゲームの基本的な流れは、街で悪魔に関する情報を集め、各地のダンジョンを制覇するというもの。戦闘は敵との接触で発生し、瞬発力が高い順に行動するターン制となっている。自ターンでは通常攻撃やSPを消費する魔法、必殺技などを選択できるが、難易度がかなり高く、ただ漫然と通常攻撃を繰り返すだけではすぐに全滅してしまう。
戦闘を有利に進めるには、敵ごとに設定された弱点を狙う必要がある。例えば、瞬発力が高い敵の場合、行動を一時停止させられる「転倒」系攻撃を弱点とすることが多い。また、魔法を得意とする敵の場合は、相手のSPなどを低下させる「心浸食」系の魔法に弱いことが多いといった具合だ。
敵の弱点を知るだけでなく、多くの敵と戦って経験値を稼ぐことも重要。レベルアップすると各種のステータスが上昇するだけでなく、技や魔法を覚えることもある。経験値稼ぎに便利なのが、ダンジョン内ですばやい動きを見せることもある、ニワトリ状の「プレゼンチャー」。プレゼンチャーを倒すと、通常よりも高い経験値を手に入れることができる。
「攻撃力アップ」や「HP加算」などのアイテムがランダムに手に入る「特殊経験点」もゲームのポイント。特殊経験点は、ボス敵との戦闘で勝利すると手に入る。アイテムは好きなときに好きなキャラクタに対して使えるので、特定のキャラクタだけを強くしたり、特定の能力だけを重点的にパワーアップしたりといったことも可能。さらに、ボスを5ターン以内に倒すと、「追加ボーナス」を入手できる。
装備を強化することで、さらにキャラクタを強くすることもできる。装備は、ダンジョン内の宝箱で入手できるほか、街の武器屋などでも購入できる。ここで影響してくるのが、これまでに倒した敵の数などから決定される「名声」レベル。名声が上がると、街で手に入る武器のランクも上がる。
旅の途中では、さまざまな人物が登場し、仲間になる。戦闘に参加できるのは同時に4人までだが、「Party」メニューから「meeting」を選ぶことで、いつでも各キャラクタと会話できる。仲間同士が話し合うことで旅のヒントを入手したり、掛け合い漫才のようなコミカルな会話を楽しんだりできる。真面目なはずのキャラクタが壊れた発言をすることもあり、シリアスなストーリーながら、笑ってしまうことも多い。
ホルンが悪魔に狙われた理由や、天使の実態など、謎の多いストーリーは秀逸。ゲームをテンポよく進めることができるだけでなく、さまざまな真実が二転三転し、プレイヤーを惹きつける。