剣と魔法の世界を舞台に、日雇い仕事を請け負いながら生活費を稼ぐ、という設定の異色の生活シミュレーションゲーム。独自のステータスシステムが特徴。「晴れたり曇ったりN」は、移民船に乗って海洋都市イシュワルドにたどり着いた、少々気弱な青年「フィル」の物語。イシュワルドの労働者ギルドに登録したフィルは、ドブさらいなどの労働で生活費を稼ぐ日々を過ごしていた。ところがある日、フィルの前に妖精が現れ、妖精が住む「メロウの森」を救うようにと、なかば強制的にいわれる。メロウの森にはもともと結界が張られていたが、それが壊れ、魔物が侵入するようになっていた。フィルは嫌々ながらも「結界を張り直すための数種類のアイテム」を手に入れるため、冒険に乗り出す……。
ゲーム開始時のフィルはただの見習い労働者。「魔物が出現する可能性のあるアイテム」を手に入れるには、強くならなくてはならない。しかも、移民してきたばかりで頼るべき親戚もなく、毎日の生活費や寮住まいにともなう借金を支払うため、お金を稼ぐ必要がある。そのため、ゲームの中心となるのは「フィルのイシュワルドでの生活」。「妖精の森を助ける」という目的には期限が設定されていないため、日々の生活費を稼ぎながらステータスを上げていけばよい。フィルの強さに自信がついたら、毎月“3の倍数の日”に発生するアイテム取得イベントにチャレンジする。
イシュワルドの生活で必要なのは、なんといっても“お金”。仕事をはじめとする各種の行動ではもちろん、時間が経過するだけでお腹が空くので食事を摂らなくてはならない。さらに、戦闘ステータスを上げるためにも費用がかかるなど、さまざま場面で出費が発生する。まずは仕事をこなして、イシュワルドの通貨「£」をためる必要がある。
フィルは仕事を斡旋してくれる「ギルド」に所属しており、8時から17時までの間、さまざまな仕事を請け負える。仕事の内容は「商品の検品作業」などの非戦闘系と、「近隣の盗賊退治」などの戦闘系に大別される。どちらをこなしても経験値や賃金を入手できる。現在の自分の能力と、賃金や拘束時間、難易度などを考慮して仕事を選べばよい。経験値が100たまるたびにレベルアップする。
ただし、仕事をするとフィルの満腹度や好感度、幸福度などが下がる。そのため、定期的に外食や趣味の釣り、散歩などを行い、満腹度などのステータスを一定以上に保つ必要がある。また、仕事を含めたすべての行動では一定の「行動力」が消費される。行動力がゼロになると大半の行動がとれなくなってしまうため、1日のスケジュールをバランスよく決めるのがポイントだ。
ゲームの特徴のひとつが「レベルアップしても強くならない」という独自のシステム。攻撃力や耐久力といったステータスは装備している武器に依存し、いくらフィルのレベルが上がっても攻撃力は上がらない。その代わり、レベルアップ時に「マナB(ボーナス)」と呼ばれるポイントが入り、武器を強化できるようになる。さらに、武器には「マナP(ポイント)」と呼ばれるポイントが設定されており、攻撃力や耐久力などに振り分けて強化を行うことが可能。ただし、マナPを振り分けるためには、同等のマナBが必要で、マナPが余っていてもマナBがないと強化できない。武器のステータスを上げるには、どんどんレベルアップしてマナBを手に入れる必要がある。
武器が強くなるにつれて仕事が簡単になるが、ギルドの「ランク」を上げることで難易度の高い依頼を受けられるようになる。ランクを上げるには各ランクの「会員証」が必要で、入手するためには多額のお金に加え、イシュワルドに一定以上の人数が住んでいる必要がある。実は、イシュワルドという街自体に「景観」「治安」などのステータスがあり、フィルの行動で変化する。住民の数はイシュワルドのステータスで決まる。
フィルの周囲にいる個性的な仲間たちも「晴れたり曇ったりN」の魅力。仲間たちには友好度が設定され、フィルの行動次第で変化する。フィルと同じ移民船でイシュワルドに来た冒険者の元気少女「シオ」や、フィルに一方的な恋をしている強引な少女「イブ」、街の警備を担当し、職務に忠実で親切な「ヘルシンキ」など、交流できる個性的なキャラクタは総勢8名。各キャラクタとの会話は、単調になりがちなシミュレーションゲームを大いに盛り上げてくれる。