「銃」「機械」といった現代文明と、「天使」「魔法」といったファンタジーが混在した長編RPG。個性的な登場人物による、シリアスなストーリーとコミカルな会話のバランスが絶妙。「Hallucination Ringdom」の舞台は、ビルが立ち並び、車が走る現代的な文明世界。この世界には「魔気」と呼ばれる有毒ガスが発生し、天界に住む天使だけがガスを中和できる。人類は、魔気が濃くなると、天界に「使徒」と呼ばれる子どもを派遣して魔気を薄めてもらっていたが、数年前から連続して天使とのコンタクトに失敗。そして、いま再び新たな使徒が選ばれ、天界への旅に出ることが報じられた。
主人公の「ユウ」は、スラム街に住む貧しい身ながら、国立科学研究所に勤める青年。彼の最大の悩みは、魔気の影響で病気を患っている妹「ミクル」のこと。ある日、妹のことで悩むユウの前に「妖精」が現れ、彼に力と武器を与えて「魔気のない天界にミクルを連れて行け」と告げる。覚悟を決めたユウは、「新しい使徒を見つけて力になり、妹と一緒に天界に行く」という計画を立てて旅に出る。
最大の特徴が登場人物が多彩で、会話や行動が魅力的なこと。「妹思いでちょっとクールな主人公」と「兄を慕う明るくてかわいい妹」の王道コンビを中心に、マッドサイエンティスト風のオタクな友人や、主人にさえ毒舌なメイドロボット、怪しげな英語交じりの日本語で話すテンションの高い熱血色男など、メインキャラクタだけでも8人が登場する。
旅の途中では、総勢10名の「ゲストキャラクタ」と出会える。特定のイベントを発生させることで、ゲストキャラクタを仲間にできるが、わかりにくい場所にいたり、高速で動き回っていたりと、仲間にするのに苦労する者もいる。変わった設定のおもしろいキャラクタが多いので、できるだけ仲間にしておきたい。
一度の戦闘に参加できるのは4人まで。プレイヤーは「回復が行える」「攻撃力が高い」といった各人の能力を考慮しながら、戦闘メンバーを決めることになる。キャラクタのレベルアップは、戦闘に参加しなくても主人公と一緒に行われる。なかには、必殺技を使用することで新しい技を覚えるタイプのキャラクタも存在する。
戦闘に関して注意したいのが、普通の敵と戦ってもレベルアップしないということ。特定の戦闘イベントに勝利したときにしかレベルが上がらないので、基本能力を強化するには敵を倒してお金を稼ぎ、装備品を購入する必要がある。戦闘難易度はやや高めなので、HPが少ない場合にはシンボルエンカウント方式の敵を避けるといったことも重要になる。
各キャラクタは2種類の武器を装備できるが、武器の代わりに「アタッチ」というアイテムを付けることもできる。アタッチは、武器に「炎」「氷」といった属性を与えるもので、戦闘時に魔法をはじめとする特殊技を繰り出せるようになる。装備するアタッチによって発動する特殊技が異なるため、炎に弱い敵がいるダンジョンでは炎のアタッチを装備するといった準備が欠かせない。
各地に散らばるアイテムの収集も、ゲームを楽しませてくれる要素のひとつ。あとからお気に入りのBGMを再生できる「サウンドエレメント」や、コレクターズアイテムである各種の「本」から、主人公が上に乗ることで、誰かが必殺技を覚える「スキルパネル」まで、さまざまなアイテムが用意されている。さらに、アタッチやスキルパネルを使う以外にも、特定イベント後のレベルアップ時に必殺技を覚えることがある。また、会話中に選択肢が表示されることが稀にあり、選択内容によって覚える必殺技の種類が変わることもあるという。
ほかにも、ストーリーと関係のないイベントとして「闘技場」システムがある。各地の闘技場では、敵キャラクタとノンストップで戦うが、地域によっては「魔法が使えない」「魔法しか使えない」といった制限があり、力押しだけでなく戦略も要求される。勝利すると、賞品として高価なアイテムをもらえる。