動機
広く普及の可能なソフトウェアで、子どもの可能性を支援するような知育「玩具」を。そして、既存のシステムの問題点を突くようなものを作れないか。「子どもでもわかるシステムというのは優れたインタフェースなのではないだろうか」──それは私の研究テーマの一つでもあり、そのあたりが「はいぱーぺいんと」の出発点です。造形方法や描画方法、一つひとつ練って作ったつもりなのですが、いまの「はいぱーぺいんと」はまだまだ多くの問題点ヤ課題が残っていると思います。それらがすべて解決したとき、本当に子どものためのツールとなるのだろうか、と同時に、そのようなツールはどのようなものなのか。自分の課題でもあります。
苦労した点
「どのようなインタフェース、世界観にするか」。それが地味ながら苦労しました。ですがやはりここが一番大切な部分であると思います。特に「はいぱーぺいんと」は子どもをメインとしたアプリケーションなので、“入りやすさ”“直感”といった要素は重要だと思います。
おすすめの使い方
私は天邪鬼なところがあり、意外な使い方を好みます。通常の操作もそれなりに意外な操作の「はいぱーぺいんと」ですが(でも、それは既存のソフトウェアでは意外であって、因果は感覚的にわかると思います)、以下に挙げる二つの操作はそれを応用した使い方で、“より意外”ですので、それをお勧めします。
一つ目は、マニュアルにもちょこっと例として載せてあるのですが、まず、作った形状に対してペン一色でぐちゃぐちゃに塗りまくります。その後、アングルを変えて見てみると、そこに「色の抜けた影」を作ることができます。
二つ目は「嘘の影」が作れる操作です。具体的にはまず、浮いた形状を制作します。これを作るには下方の立体をあとから消す必要があります。次に、まるでその形状が地についているかのような影を描きます。いまのアングルでは、それは「その形状の影」ですが、アングルを変えてみると、実は影ではなく「そのアングルではそのように見える」だけの模様だとわかります。でも、これはいわゆるだましですから、よい子は大人をだましたらいけないよ(笑)。
今後のバージョンアップ予定
今後は物理的な機能を追加して、現実に近い世界観にしたいと思います。例えば「空間をすばやくぶんぶん振り回すと形状がばらばらに崩れる」とか、「1ブロックを持って、投げて当たったところがばらばらになる」とかですね。あと、わかりやすい保存、読み込み機能を追加したいなと思っています。
(藤木 淳)