モンスターが徘徊し、魔法使いや剣士が活躍するファンタジー世界を舞台に、常識破りの主人公たちが旅をするコミカルなRPG。プレイ時間が比較的短く、手軽に楽しめる。本編のキャラによる姉妹作のパズルゲームもある。「Morning,Star」の舞台は、かつて魔王の悪行によって人間が苦しめられていた世界。神に遣わされた4人の若者の力で、魔王が封印されてから70年が経った比較的平和な時代だ。この舞台設定でツッコミ剣士や破戒僧たちによるドタバタ劇が展開することになる。
主人公は戦闘能力が皆無の普通の少女「ネル」。ある日モンスターに襲われたネルは、旅の途中の剣士クリスと僧侶カナリアに助けを求めるが、アクシデントで彼らの旅に同行する羽目になる。旅の途中では、封印された魔王の手下である四天王が、魔王復活のために暗躍をはじめたという事実が発覚。身に降りかかった災難を解決するだけのはずだった「普通の少女」は、世界を救う冒険に無理やり参加させられてしまう。
ゲームの最大のおもしろさは、最初から最後まで間断なく続くギャグの数々と意表を突くストーリー展開にある。旅の途中で出会う個性的なキャラクタたちも魅力だ。
シンプルなシステムもポイント。戦闘は基本的に前衛と後衛の2人で行い、敵の攻撃はすべて前衛が受ける。前衛には体力を表す「HP」のほかに、「SP」と呼ばれるポイントがあり、通常攻撃ごとにたまっていく。各キャラはレベルが上がると「多段切り」などの必殺技を覚えるが、発動するためにはSPを消費する。威力が大きい技ほど消費量が増えるので発動させにくい。また、SPが最大値の状態では、通常攻撃が必ずクリティカルヒットとなり、敵の攻撃を回避する確率も高くなる。
後衛は魔法を使うキャラクタが担当し、攻撃魔法で援護したり、前衛に治癒魔法をかけたりする。注意すべきは、戦闘開始時点では魔法に必要な「MP」がないこと。そのため、まず「詠唱」を行って、MPをためる必要がある。1回の戦闘が終了すると、HPやSP、MPは初期状態に戻される。
「Morning,Star」では敵を倒してもお金は手に入らず、回復薬などのアイテムもないので、HPの回復は後衛の魔法に頼るしかない。また、武器や防具で能力を強化する多くのRPGと異なり、装備できるのは「腕輪」だけ。ストーリーのイベントなどで手に入るアイテムで、「毎回MP25ポイントで戦闘開始する」「自分のターンが早くまわってくる」など、腕輪ごとにさまざまな特徴がある。
なお、姉妹作として「リア&クリス」というゲームが別途公開されている。ステージ上の「シグナル・きゅーぶ」と呼ばれる物体を破壊する面クリア型のパズルゲームで、戦闘要員としておなじみの剣士クリスと魔法使いカナリア(通称リア)が登場する。もちろん、「Morning,Star」本編と変わらぬ掛け合いを楽しめる。