「DEAR YOU」は、0.1mm単位で印刷位置を指定でき、既成の送り状などにも対応できる、自由度の高い印刷ユーティリティ。内蔵住所録との組み合わせにより、ラベルシールなどへの差し込み印刷も行える。

メイン画面は大きく左右に2分割された構成。左側は編集画面で、編集モード──「テンプレートモード」と「データモード」──に応じて機能が切り替わる仕組み。右側はプレビューエリアで、印刷される文字やテキストエリアを示すボックスの位置などを確認できる。

「テンプレートモード」では、用紙のサイズや文字を配置するための「文字列編集領域」の設定や、罫線などの基本的なレイアウト設定を行う。プレビュー画面上でのマウス操作、座標や大きさの数値指定のいずれからでも設定を行うことが可能。整列や等間隔配置といったコマンドを利用することもできる。「文字列編集領域」には「属性」を指定できる。「属性」フィールドは付属の住所録データベースと連動しており、「氏名」「住所」といった項目名を割り当てると、印刷時に自動的に住所データを読み込んで差し込み印刷を行ってくれる。「属性」に任意の文字列を入力しておけば、固定の文字データとして印刷されるようになる。背景に画像を読み込むことも可能で、伝票のスキャン画像などをもとに、より正確なレイアウトを行える。

作成したレイアウトは、テンプレートとして保存しておくことが可能。サンプルのテンプレートも豊富に用意されている。「名刺」「はがき・封筒」「タックシール」「その他」に分類されたサンプルテンプレートは、計200種類以上に上る。

「データモード」では、実際に印刷されるデータ内容を確認できる。例えば差し込み印刷の場合、テンプレートモードでは「文字列編集領域」ごとに与えられた属性名やそれらの配置をプレビューできるのに対し、データモードでプレビューするのは、印刷される文字列データそのもの（例えば、氏名欄に入る「練馬 ベク太」など）になる。また、差し込み印刷のように属性を指定する必要がなく、一時的に印刷するものについては、データモードで文字列を入力したり装飾したりすることも可能だ。

住所録は、頭文字（あ/か/さ/た/な……）をタブで切り替えて使う方式。データは一覧表形式で表示される。登録できるデータは氏名や住所のほか、会社住所、部署、役職など多岐にわたる。電話番号や携帯電話番号、メールアドレスなどは2件ずつ登録できる。生年月日を登録すると、年齢を自動計算してくれる機能がある。

住所録の検索は、項目名にもとづいた文字列検索（5項目まで登録可能）のほか、生年月日や年齢は以前/以後、同年齢/未満などの条件を指定して行える。

ただし、細かい設定が可能なことが災いして、ややわかりにくい印象を受ける部分もある。例えば「文字列編集領域の追加」という名前のツールボタンは二つあるが、どう使い分けたらいいのかとか、文字の装飾は「データモード」と「テンプレートモード」のどちらで行うべきなのかといったことは、ちょっと触った程度ではピンと来ないかもしれない。ツール（コマンド）の機能的な説明だけでなく、用途の面からの説明を加えるなどしてヘルプの内容を整理すればもっとわかりやすくなるだろう。

幸いなことに付属のテンプレートが豊富なので（特にはがき・封筒とタックシール）、これをベースに手を加えていくといい。独自フォーマットの帳票印刷などで苦労している人にはお勧めのソフトといえる。

このソフトはいろいろな用途に使えるように、とにかく自由度を高くしました。シートテンプレートを設定することにより、あらゆる用紙に対応させることができ、はがきや封筒の宛名だけでなく、名刺や送り状、ラベルの印刷などにお使いいただけます。そのほか、名前を変えるだけの書類、例えば招待状やご案内などの印刷にもお使いいただけますし、不定形の用紙の決められた位置にテキストや画像を印刷したいときなどにもお使いいただけます。オリジナルの月謝袋や便箋の作成、のし袋や履歴書の印刷など、アイデア次第でさまざまな用途にお使いいただけますので、ご自分に合った使い方をしていただければと思います。

今後はシートテンプレートの追加やテンプレート作成機能の強化、テキスト・画像印刷のユーティリティ性の向上など、さらに多様な用途にお使いいただけるように機能を追加していく予定です。