ソフトを開発しようと思った動機、背景
昔、星占いに利用するため、「ケプラー第2の法則」を利用して惑星の位置を計算するプログラムを作ったことがあります。その後、9,000個の恒星データをインターネットで入手でき、「これを組み合わせたら、画面上に自由自在に天空を再現できるのではないか?!」と思いつきました。「暗い星を如何に連続的に微妙に暗く表現するか、明るい星をどうやって連続的に明るくするか」──これさえできれば必ず夜空の実感に近似できると確信しました。そこで「遠い過去と将来も含め、パソコン上で自由に拡大できる天体望遠鏡を再現できれば」とのコンセプトのもとに本ソフトを作成してみました。「せっかくだから、月は満ち欠けさせよう! 火星も光度が極端に変わるから光度も変化させよう! ついでに金星、水星も大きさを変化させながら、かつ満ち欠けさせよう! おまけに星も瞬かせよう!」と思い、ある程度満足できるものができあがりましたので、夜空と星々に若干なりとも興味のあるみなさま方に自由に楽しんでいただけましたらと思いましてVectorさんを通じて本ソフトを公開させていただきました。
開発中に苦労した点
本ソフトを公開したあと、本物の夜空に並んだ月と火星を眺めて、本ソフトと突き合わせたところ、月の実際の位置がだいぶ異なることを発見しました。「これは何とかしなければ! 信用に関わる」と思い、月の位置の精度を高める苦労をしました。真に悩ましきは月の計算。煮ても焼いても月の精度はどうにもなりません。調べてみると、月の位置計算は天文学上の最難問の一つだそうです。
惑星の位置の精度は、あまり見栄えが変わらないので苦労しても目に見えないところがあります。ここらあたりの苦労はreadme.txtに詳しく書いてありますので、興味のある方はそちらをご参照ください。
その後、「ケプラーの方程式へ直接数値代入すれば、天体軌道は容易に表示できるのではないか? それならば惑星のみならず、ついでに彗星、小惑星の軌道も表示させよう」と思いつきました。確かに天体の軌道を表示できますが、それは立体感のない意味不明の単なる曲線の羅列でしかありませんでした。「そうだ! 曲線に濃淡をつけて立体感をつけよう」と実現したのが本ソフトの軌道表示です。角度を変えれば、次々と変化する立体感のある画像が出るようになりました。
ユーザにお勧めする使い方
経度、緯度、拡大・縮小の調整自由自在。惑星、彗星、小惑星の光度、満ち欠けも自動調整。太陽、月も地球からの距離に応じて視直径が変化します。全星座名と主要恒星名を日本語名、英語名の双方で表示可。恒星はまたたき、同種のソフトの中では格段の美しさ(のつもり)。光度も比較的忠実に再現していますのであたかも澄み切った夜空での天体観測に等しい画像を表示します。拡大すれば二重星も見られます。これに加えて、Ver.2.7からは彗星の尾を含めて表示できるようになりましたので、1910年5月19日のハレー彗星の歴史的な大接近、1996年3月27日の百武彗星の北極星接近もメイン画面で再現できます。
今後のバージョンアップ予定
「平坦な画面を使ってどうしたらもっと立体的な軌道を描けるか? そうだ! ソフト利用者の頭の中に直接立体軌道を描けばいい!!」と思いつきました。そこで近々公開予定のVer.2.8では3D視の立体軌道を披露したいと存じます。信じられないかもしれませんが、意味不明の単なる曲線の羅列が貴方の頭の中で立体軌道を結びます。3D視は忍耐と熟練を要しますが、乞うご期待!!
(転倒夢想庵)