Windowsのレジストリをカスタマイズするソフトはいくつも発表されているが、その多くは「レジストリエディタを使わず手軽に設定できる」というもので、その項目がどんな役割を持ち、どんな効果をもたらすかについては、あらかじめユーザが知っている必要があったように思う。いいかえると、設定をいじることは簡単でも、それによってどんな効果を得られるかといったことは、設定画面を見ただけではわかりにくい面もあったのではないだろうか。「Win高速化 XP+」では、そうした敷居の高さをほとんど払拭している。大きな理由は三つ。一つめは、システムの負荷を減らして高速化するという、誰にもわかりやすく恩恵を得られる部分に特化したこと。これで設定項目が絞り込まれたため、詳細設定画面を呼び出すといった込み入った操作を免れることができ、ボタンのレイアウトなどもゆとりをもった親しみやすいものにすることができたと思う。
二つめは設定項目について詳細な説明を設けたこと。ヘルプファイルを開かなくても項目を選択するだけで解説を読めるので、どんな効果があるか初心者にもよくわかる。この解説は比較的長めで丁寧に書かれている上、項目によっては、効果を得にくいケースなどについても触れられているのもいいところだ。別に解説書などを用意しなくてもいいというのは、初心者向けソフトとして重要なポイントだろう。また、こうした丁寧な解説をメイン画面(このソフトの場合、そもそもダイアログなどないわけだが)上で読めるというのは、設定項目を絞り込んだ結果ともいえる。
三つめはチェックボックスのON/OFFだけで設定できるというシンプルさだ。もちろんこれは、上級者にとっては自由度が低いという不満にもつながるわけだが、「Win高速化 XP+」の視点は徹頭徹尾初心者へ向けられているので、むしろ大きな美点といえる。
欲をいえば起動時にタスクトレイに常駐するソフトを選べたりするとより便利だったと思うが、全体には明解なコンセプトに基づいた、割り切りのよさが光る一本だ。
(福住 護)