ソフトを開発しようと思った動機、背景
「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。ご存知の通り思わぬ結果が生じるのたとえです。「風が吹けばどうなりますか?」の問題に対して、「桶屋が儲かる」が答えだと考えると、訳がわかりません。「風が吹くと砂ぼこりが出て盲人が増え、盲人は三味線をひくのでそれに張る猫の皮が必要で猫が減り、そのため鼠が増えて桶をかじるので桶屋が繁盛する」と答えて、はじめて納得できます。自然科学や数学などの問題と解答との関係もこれと同じだと思います。例えば、図形問題では、頭の中で図形を回転したり補助線を入れてみたり、数式を組み立て、さらにAだからbとなり、BだからCとなるといった論理の組み立てが重要です。極端にいえば、答えが合っていようと間違っていようと大きな問題ではなく、どのように考え、どのような手順でその考えを進め、発展させていくかということが最も重要なことです。ところが、現在の学校での授業や書籍による解説では、この部分の説明がうまくいっていないように感じます。問題を答える側も、解答を急ぎすぎる傾向があり、そのため、本来のおもしろさを理解できないでいるように思います。
このような背景を考えると、問題と答えの間を簡単に補完できる、そんなツールの必要性を感じます。「GeoFlair」は、単に問題と答えを表示するだけでなく、最も重要である問題と答えの間を表示できるツールの提供を目的とし、開発を進めたものです。そのために、まず簡単に数学的な説明ができること、そして考え方や手順の説明ができるシナリオを実行できることの2点を開発の核としました。最初に図形の入力表示から取りかかり、シナリオの作成実行、そして現在のバージョンで数式が入力表示できるようになりました。
開発中に苦労した点
Mac用ソフトの開発は初めての経験でしたので、まずツールボックスの機能確認からはじめ少しずつ進めてきました。その間、68KからPowerPC、OS 9からOS Xと代わり、なかなか進まないという状態でした。苦労した点、難しかった点は多くありますが、なかでも、図形の入力方法に関しては手のかかった部分の一つです。一般的に図形の入力は、ドロー系やCAD系ソフトのような入力方法ですが、このどちらも数学的な図形の入力には適していないように思います。例えば三角形の頂点の2等分線と辺との交点から他の辺に垂線を下ろすといった簡単な図形でも、入力は面倒な作業となってしまいます。
「GeoFlair」では、いかに数学的な考え方、表現そのままに図形を入力できるかということを基本に、試行錯誤で入力インタフェースを決定、現在の姿となっています。そのため、あるいは余分な機能もあるかもしれませんし、洗練されているとは言えないかもしれませんが、苦労のごみが残っているといったところでしょうか。
ユーザにお勧めする使い方
いろいろな用途での使い方ができると思います。数式や図形を含む書類の作成やちょっとしたプレゼンテーション等々。開発当初からのお進めする使い方は、以下の2点です。
- (1)数学、理科等の問題作成、解説書の作成
- 特に図形や数式の入力が簡単なので、その分多くの作成ができます。もしかしたら、一人ひとりのレベルに合った問題、解説書作成も……。
- (2)簡易CAIとして
- データベースを基本とする本格的なCAIではなく、例えば、「なぜ三角形の内角の和は180度?」「なぜ三平方の定理は成り立つの?」「なぜ同じ弧に対する円周角は等しいの?」「なぜ金星は日の出前と日の入り後にしか見えないの?」「なぜ急な坂道ほどスピードが出るの?」等々、ちょっとした疑問にわかりやすく答えることのできるシナリオを簡単に作成。興味を持てるようゲーム形式にすることも。
今後のバージョンアップ予定
次バージョンは未定ですが、関数やグラフの入力表示機能の追加を考えています。関数のグラフが扱えるようになると、中学高校程度までの数学のほぼ全般をカバーできるようになります。また、シナリオ機能については、その新しい用途や使い方をサンプルの形で提案していきたいと思っています。ホームページをご覧ください。
(Shino)