基本的にはページ単位でのHTML編集ソフトだが、複数のページの同時編集やリンクのチェックなどの機能を備えているのが特徴だ。ただし、「サイトの作成」という観点からは、リンク用の“A HREF”タグを単に挿入するだけなのはちょっともったいない気がする。というのも、「Visual Website Editor」には「作業フォルダ」という概念があり、ページに埋め込む画像をこの作業フォルダ下に置いておけば、画像を選択するだけで適切な相対パスに置き換えてくれるのに対し、リンク先のページについてはそういう機能がないらしい(筆者には見つけられなかった)からだ。もちろんパスの記述法はWebページを作る上で欠かせない基礎知識ではあるのだが、画像挿入コマンドが便利なだけに、却って落差を感じる結果になってしまったようだ。
また、ヘルプがあっさりしていて、せっかくのタグ補完機能をどうやって呼び出したらよいのかわかりにくいし(実際にはタグを括っている左側の“<”を入力するだけでよい)、タグのみを削除するコマンドもあった方がより使いやすくなるのではないかと思う。
そのほかでは、ページ編集中、すぐにプレビューに切り替えられるのももちろん大きな特徴だが、筆者にとってそれ以上に目を引いたのはカラーパレットの充実だ。特に、Internet ExplorerとNetscapeの両方で定義されている色やWindowsとMacintoshに共通する色のパレットは、不特定読者を対象としてWebページを作成する人にはとても便利だろう。このカラーパレットは、例えばテーブルタグ挿入時に同時に罫線の色を指定するのとは違って、カラーコードのみを挿入するので、このあたりも慣れを必要とする部分ではある。しかし、手軽に参照できるカラーリファレンスとして、「この機能だけを使いたい」という人がいてもおかしくないほどだと思える。
というわけで、手ごろなタグ挿入型を探している人はもちろん、すでに他のソフトを持っている人にとっても、特定機能の補助用として活躍してくれそうな一本だ。
(福住 護)