「ClipReader」は、クリップボードの履歴管理、音声読み上げ、ランチャの三つの機能を備えたタスクトレイ常駐型ユーティリティ。クリップボードに転送されるデータを自動的に記録し、再利用を可能にしてくれるという基本機能はオーソドックスなものだが、テキストデータだけでなく、BMP/JPEG/TIFFといったビットマップ画像やWAVE形式のデータなども記録できることが大きな特徴。設定により、取得可能なデータ形式の一覧から、実際に履歴に記録するものを選ぶことができる。メインのデータ一覧画面では、履歴リスト一覧を表示するほか、保持しているテキストや画像の内容をプレビューすることもできる。履歴データを利用する場合、対象のアプリケーションが【Ctrl】+【Insert】キーで貼り付け可能なものであれば直接貼り付けられる。【Ctrl】+【Insert】に対応していない場合は、いったんクリップボードへ転送した上で貼り付ける。リストから複数のデータを選択して、連続で貼り付けを行うこともできる。
記録する履歴数は、ユーザが設定することが可能(初期設定では32個)。設定値を超えたデータは古いものから削除される。リストから消えてほしくないデータは、特に「保持データ」として保存しておけるようになっている。履歴データはWindows終了時に保存され、次回起動時に自動的に復元してくれるので、前日の状態を引き継いで作業を続けるといった使い方もできる。
さらに、履歴データのファイル保存や、保存したデータのデータ一覧への読み込みも可能。保存形式は、さまざまなデータを統一的に扱える「ClipReader」独自の形式のほか、テキストやBMP/JPEGなどの一般的な形式で行うこともできる。
音声読み上げ機能は、Microsoft Text-to-speech engineなどの音声合成エンジンと組み合わせて、履歴データ内のテキストやクリップボードに転送されたテキストを自動的に読み上げてくれるもの。「仮想カレット」という機能で、テキストの任意の部分だけを読み上げさせることもできる。文字の読み上げ方は細かく指定することが可能。また、特定の文字で始まる行などで音声を自動的に切り替えたり、読みの難しい固有名詞などは独自の読み下しデータファイルで対応したりといったオプションも利用できる。
ランチャ機能は、実行ファイルのパスやWebページのURLを登録しておき、すばやく起動やアクセスを行えるようにしてくれるものだ。
データ一覧画面の表示から、貼り付けやプログラムの起動まで、ほとんどの操作をキーボードショートカットから行える。ボタンやメニューコマンドがなくショートカットからのみ操作できる機能も多い。履歴データはリスト内の順番によって管理されているので、番号を指定して、ショートカットでデータを直接貼り付けることもできる。
そのほかにも、パターンマッチングでテキスト内の特定の場所へジャンプする機能や、タイトルバーの文字、リストやコンボボックスの項目までを含めたアクティブウィンドウの内容をコピーする機能など、多彩な機能を備えている。