ソフトを開発しようと思った動機、背景
差異哲学を軽快な読み物にしたメールマガジン「プラトー(Plateau)」を、1999年9月よりまぐまぐから発行しはじめました。フリーの縦書きテキストエディタ「Wakatono(和歌と野)」に手がかからなくなり、次は哲学ソフトをと考えておりましたので、すでに2年近くの歳月が流れています。縦書きへの拘りは日本人にとって空気のようなものだからです。Windows RichEditを利用しての縦書き編集は、Windows 2000からXPでほぼ完璧に排除されました(最近、XPでテストしたところでは、9x系のDLLを二つ加えれば縦書き編集もOKでした)。「Plateaux」では独自に縦書きしていますので、XPでも影響はありません。横書きオンリーのグローバルスタンダードに対してのささやかな抵抗といったコンセプトもあります。機能・有用性重視のソフト開発から一歩離れ、文化のあるべき姿・思想からのソフト作りは、プログラムに対する私の基本姿勢です。パソコンを得たことにより、人間がどれほど豊かなものに変身し得るのか、パソコン文化の成熟期にはそういったテーマ・未来像も必要でしょう。
開発中に苦労した点
哲学科出身で、グラフィックに関しても高等数学にも基礎がありませんでしたので、1年くらい実験で過ごしました。メールマガジンとシンクロするようなグラフィックやプログラムでの動画サンプルを見つけ、できるだけオリジナリティを加え、先人の好意に報いようとしたところでしょうか。パソコン自体、I/Oデータ=数的な差異で成り立っています。ドットでできているグラフィックや動画はすべて差異に関連付けられる可能性を持っています。結局、好きなものを選んでしまいました
ユーザにお勧めする使い方
プログラムによる動画・アニメーションはスクリーンセーバの大きさではかえって疲れてしまうという方や、気分転換や物思いや癒しに多少なりとも有効でしょう。自由に感じたり使用していただいて結構ですが、時にはドキュメントにも目を通していただいて現代哲学の息吹に接し、いまの時代を生きているという実感・充実感を味わっていただけたら、作者としては幸いです。フランス現代哲学は、より実践的で下手なドラマや小説よりずっとおもしろいものです。
同じ文章でもテキストビューアで読むと雰囲気が変わります。差異的な微妙な情緒も味読していただけるように工夫しました。テキストビューア以外、まったく同じ機能でフリーの「Plateau」(プラトー読者用)もありますので、目で楽しみながら哲学に触れて遊んでいただけたらと思います。
今後のバージョンアップ予定
開発環境がPentiumからPentium4になり、アニメーションはさほど変わらなかったのですが、テキストのフェードイン/フェードアウトは効果が薄れてしまいました。CPUのスペックに左右されないプログラムを考慮中です。Windows Medea Playerの視覚エフェクトに比べて技術的に段差がありますが、シンプルなものの動きからより良質なものをと奮闘中です。
最後に
フランス現代哲学(差異哲学)は知の最高峰、人類の世界遺産でしょう。「Plateaux」はその端末でしかありませんが、香りくらい感じ取っていただけたらうれしいです。差異の探求は神秘に近づきます。神秘の底には必ず差異がひそんでいます。視覚的にそこまで近づければ……と思っています。
(SIGEYOSI)