従来のMac OS用に提供されていた「Program Switcher」の拡張版ということだが、追加された「Hot Keys」「Clipboard Switcher」も加えて、強力なアプリケーション、クリップボード切り替えツールとして生まれ変わったという印象だ。「Hot Keys」の中では、「現在のアプリケーションのすべてのウィンドウを最前面に出す」機能が便利だ。というのは、Mac OS Xでは、Mac OS 9までの従来のMac OSと異なり、Finder上のウィンドウがそれぞれ独立しているため、複数ソフトを切り替えて使っている場合に、同一アプリケーションのウィンドウであっても、いっぺんに前面に出すことはできない。「Keyboard Maestro」のこの機能を使えば、例えば同一のワープロで複数文書を編集しているときなど、とても便利になるはずだ。
「Hot Keys」への登録操作は、機能を選んでから指定したいキーをそのまま押すだけと簡単。また、登録したホットキーは、「Keyboard Maestro」の操作パネルに一覧リストが表示されるので、ここからひとつずつ有効/無効を切り替えられるなど、多機能でありながら、使い勝手にも優れたキーユーティリティだと思う。
「Program Switcher」は、その名称が示す通り、アプリケーションの切り替えユーティリティ(スイッチャ)がメインだが、登録したアプリケーションを「開く」機能もあるので、簡単なランチャとしても使える。また、Mac OS Xには標準で【command】+【tab】によるスイッチャ機能が用意されているが、これに比べると機能も豊富で、カスタマイズができるなど、かなり強力なユーティリティだ。
なかでも、アプリケーション切り替えリストから除外できる「省略リスト」は、なかなか便利。実際のユーザの立場でよく考えられた機能だと思う。例えば、ウィルススキャンやシステム監視などの常駐ソフトをはじめ、ユーザによる切り替えの必要のないソフトは、この省略リストに登録するとよいだろう。
操作についても、メイン画面に用意された「Program Switcher」「Hot Keys」「Clipboard Switcher」タブから、登録(追加)、編集、カスタマイズなどの設定操作が効率的に行えるなど、初心者でもそれほど違和感なく使いはじめられるはずだ。また、中・上級者であっても、Mac OS Xで大幅に変わったFinder/ウィンドウ操作にとまどっている人が多いと思うが、「Keyboard Maestro」を使いこなすことことによって、操作環境を大幅に向上させることも可能となるだろう。
(坂下 凡平)