比較的速いタッチタイピングを行う筆者の場合、ダンサーは、ほとんどずっと続けて踊り続けるので、どのキーでどう動くかがちょっとわかりづらい。キーによる動きを知るには、同じキーを連続してタイプするとよくわかるようだ。それはともかく、こちらを向いていかにも楽しそうに踊るダンサーを見ていると、タイピングでダンサーと共演しているような錯覚に陥って、ばかばかしいけれど何となく浮かれてきそうになるから不思議だ。
脱力ソフトともいえるが、ダンサーを見ながらタイピングすることで、キーボードを見ずにタイプしてしまい、タッチタイプがマスターできるという、意外な効用もあるかもしれない。
ゲームの雰囲気については、ダンサーのキャラ、踊るステージ、ダンスのスタイル、どれをとっても'70年代ムード満点。名前は「クール」だけど、カッコいいというよりダサめなのが、逆にナイスなのだ。この種のソフトは全員にバッチリはまるということはないだろうが、昭和30〜40年生まれくらいの世代には、何とも言えない懐かしさと脱力感を与えてくれるはずだ。
ダンサーのキャラも、ずっと見ていると東南アジアのバンドマンとか、昔のバーテンみたいにも見えてきて、小さな画面いっぱいに暴れ回る姿を眺めるうちに、変なペットを飼ってるような気分にもなる。これは、大きすぎないウィンドウサイズも貢献しているのだろう。出しゃばらず邪魔にならないが、思いっきり目立っている、このバランス感覚がいいのだ。
ちょっと落ち込んだ気持ちのときに起動してひとしきり楽しむだけでも、意外に気分転換になるのではないか。また、仕事などで単純なタイピングを続けなければならないときでも、ちょっと気晴らしをしながら打ち込みができるかもしれない。秘密のダンスをさせる「スペシャルキーワード」は全部で8種類あるということなので、全部見つけ出してみるのも楽しいだろう。
(坂下 凡平)