19歳のピアノ弾きの女の子の目を通して、架空の国の革命を描くアドベンチャーゲーム。戦闘や魔法、経験値稼ぎなどの要素を廃し、より純粋にストーリーを楽しめるように工夫されたビジュアルノベル的な作品だ。「アクアドール3189」は、「RPGツクール95」で作成されながらも、モンスターなどとの戦闘や経験値稼ぎ、賞金稼ぎ、防具や武器の購入などといった、RPGにつきものの要素を省いたユニークな作りのゲームだ。シナリオを重視した構成で、街で人々に話しかけたり、いろいろな行動をとったりするうちに、自然にストーリーが進行する。街と街の間を移動する際や領主の城の中には迷路などの仕掛けはあるが、選択ミスによるゲームオーバーはない。
舞台となるのは、大陸の最北に位置する国、アクアドール。この国では、皇帝クウォーティスIV世の独裁が長く続き、人々は暴政に苦しみ、貧困にあえいでいた。主人公のメアリーは、アクアドールでも最北の寒村に住む19歳の女の子。彼女は、孤児院で育ち、いまは特技のピアノを生かして酒場のピアノ弾きをしている、控えめでおとなしい娘だ。そんな彼女がふとした偶然から、ガイルと名乗る初老の反政府活動家と出会うところからストーリーは始まる。ストーリーは全9章で構成される。
ガイル、そして彼が面倒をみているキャシーという同じ歳の女の子と行動をともにするうち、彼女は自分の両親のことを知り、圧政に苦しむ人々の生活を知り、次第に深く反政府運動に関わってゆく……。
操作はキーボードまたはマウスで行う。基本的にカーソルキー(マウスドラッグ)で移動し、何か気になるものの前に立ったり、話しかけたい人の前に立ったりしたときにスペースまたは【Enter】キー(または左クリック)を押すだけ。そのほかの操作も、【Esc】キー(右クリック)でメニューを表示し、そこからスクリーンモードの変更やゲームの読み込みが行えるなど、一般的なものだ。ゲームの保存は、街などにいる専門の商人に頼んで行う。この商人に頼んで、アクアドールの全国地図を見ることもできる。商人にはほかに「財布の中身の確認」と「歩くスピードの変更」をしてくれるキャラと、旅の途中で拾った宝石を換金してくれる「両替商」がいる。
全編に美しいBGMが流れるのに加え、随所にキャラの全身グラフィックが挿入され、ゲームを盛り上げている。