最近のメールソフトしか使っていない人にとってはかなり意外なことかもしれないが、昔のメールソフトには、一定時間ごとに新着メールをチェックする、などという便利な機能はない場合が多かった。そのため、メールチェック専用のプログラムというものがそれなりに存在していたのである。たとえばUNIX系のOSで使われるbiffやそのX-Window版であるxbiffなどは、そうした新着メール報告ツールの代表的なものといえるだろう。だが、最近のメールソフトではほぼ例外なくこうした機能が存在する。普通に考えると、もはや新着メールの存在を調べるだけのソフトはいらないのではないか、とも思えるかもしれない。
しかし、こうした考えがそれほど正しくないことは、最近のメーカー製PCを見ればわかる。なぜなら最近のメーカー製PCには、ノートPCにもデスクトップPCにも「メールランプ」なるものが用意されていて、新着メールがあれば、それが点灯するようになっている。それどころか、TAやルータにまでこのメールランプが装備されている例も多く、さらにインターネット上のアカウントに新着メールが届くと携帯電話にそれを知らせるメールが入るサービス、などというものがあったりするらしい。
メールの到着を別のメールで知らせるというのもなんとなく不思議な感じではあるが、これらさまざまな「新着メール報告機能」を見てもわかるように、新着メールの存在を知るというのは、実は古いようで新しい、切実な問題なのだ。ムダなしメールランチャーのコンセプトは、まさにこうしたポイントをとらえた、軽量かつコンパクトな新着メールチェッカだ。
特に注目したいのは、新着メールの報告機能。実は新着メールが届いたときに起動するプログラムは、なにもメールソフトに限らず、好きなものを自由に登録することができるのである。つまり「どこかのランプを点灯させる」であるとか、「携帯やポケベルに通知する」といった上に挙げたような便利機能は、そうしたプログラムを用意して、ムダなしメールランチャーに登録してやればすべて実現することができる。つまりメールの到着をトリガーとして、さまざまな動作をパソコンに行わせることができるわけだ。
ムダなしメールランチャーは、一見すると非常に単純なプログラムに思えるかもしれないが、使い方によってはさまざまな操作に利用できる、意外なほど応用範囲が広いソフトなのかもしれない。
(天野 司)