タスクトレイに常駐し、指定のフォルダ/ファイルを監視して、更新されたものだけをコピーする世代バックアップソフト。2種類の保存形式があり、バックアップ対象や用途に応じて使い分けられる。arcの基本的な使い方・動作は、
- 処理リストにファイル/フォルダを登録
- 常駐したarcが登録対象の状態を監視
- 対象に変更があったものが発見されると、指定されたバックアップ処理を行う
というもの。ファイル/フォルダはエクスプローラなどからドラッグ&ドロップで追加できるほか、フォルダを処理対象として追加する場合は、「マイドキュメント」や「お気に入り」などがあらかじめ登録されたダイアログから選択して、簡単に設定できる。さらに、フォルダの場合は、処理対象とする階層の深さも指定できる。フォルダを追加した場合も、中のファイルがすべて展開された状態でリスト表示にされる。対象を監視する間隔は、起動後一回のみのほか、30秒から2時間までの12段階から選択できる。さらに「AutoPack Technology」を利用すれば、設定間隔にかかわらず、対象に変更があった場合にはすべてバックアップ処理を行ってくれる。arcでは、最大25万個までのファイル/フォルダを監視対象として登録することが可能だ。
対象の保存形式として「通常保存」「差分保存」の2種類があり、リストに登録されたファイル/フォルダに対して個別に選択・設定できる。通常保存は、バックアップ先として設定したフォルダ内に日付名のフォルダを作成し、その中にファイルをそのままコピーする。コピーされるごとにファイル名の末尾には「(数字)」が追加されるようになっており、例えば対象がVector.txtならば、2回目のコピー時のファイル名はVector(2).txtといったようになる。差分保存では、バックアップ先のフォルダに、ファイル名と同じ名前でフォルダを作成し、この中にオリジナルのファイル(名前は変更される)と、変更された部分のみを差分データとして蓄積する。差分保存が行われるたびに、0000001.datのような差分データが作成される仕組みだ。世代履歴は100万回まで遡ることが可能で、実用上無制限といってよい。いずれの保存方法にも、バックアップ対象の確認が簡単(通常保存)、バックアップに必要なディスク容量が少なくてすむ(差分保存)といった長所・短所があるため、バックアップ対象とするファイルごとに設定を変えるのが上手な使い方だ。ファイルの拡張子やファイルサイズによって、保存形式を自動設定してくれる「振り分け」機能も用意されている。
このほか、バックアップしたファイルをリムバーブルメディア等にコピーする「書き出し」コマンドが用意されている。この際、UNLHA32.DLLを利用して、コピーするファイルを圧縮し、分割保存することもできる。定期的にMOやCD-Rなどに書き出ししておけば、バックアップファイルのあるハードディスクがクラッシュしてもリカバリが可能だ。なお、設定やファイルリストの保存にはレジストリを一切使わず、INIファイルだけで処理しているため、Windows 2000/98といったマルチブート環境でもそのまま利用できる。