●アーカイブファイルについて
フリーソフト、シェアウェアは一般に「アーカイブファイル」という形式で
配布されています。フリーウェア、シェアウェアを利用するには、
「アーカイブファイル」や「差分」に関する基礎的な知識が必要です。ここでは、Windows/MS-DOS環境とMac環境とに分け、簡単に説明します。
※このページは『PACK for WIN 1997年前期版』『PACK for MAC 1997年前期版』
掲載記事を元に、一部加筆・訂正したものです。
《1.アーカイブって何?》
アーカイブとはもともと公文書やその保管所のことですが、ソフトの場合は、文書ファイルやプログラムなどを一つにまとめたファイルのことをいいます。アーカイブファイルを作るためのプログラムを「アーカイバ」と呼びますが、アーカイバは複数のファイルを一つにまとめると同時に圧縮する機能を持つことが多いため、一般的には圧縮ソフトと同一視され、圧縮されたファイルのことを「アーカイブ」あるいは「アーカイブファイル」と呼ぶことが多いようです。
アーカイブファイルは、自己展開型(自己解凍型)の形式以外のものは、そのままでは実行することができません。アーカイブファイルを開くことを「展開」あるいは「解凍」といいますが、展開するためには一般的にそのアーカイブファイルを作ったのと同じアーカイバ、あるいは展開(解凍)用のプログラム(これもアーカイバと総称しています)が必要になります。
■Windows/MS-DOS環境でのアーカイバ
現在、一般に使用されているアーカイバにはLHA、PK(UN)ZIPなど、何種類か存在します。それぞれ圧縮率が高かったり、圧縮や解凍の速度が速かったりと、それぞれに特徴があります。
これらのアーカイバは、それぞれ独自の拡張子を付けたファイルを作るので、拡張子を見れば、どのアーカイバで圧縮したのか、見当を付けることができます。拡張子というのは、例えばファイル名が“FILENAME.EXT”となっているとき、“.”の後の3文字の部分“EXT”のことです。ここが“LZH”であれば、これを作ったアーカイバはLHAであり、“ZIP”であればPKZIPであるといった具合です。
拡張子によって、展開に使用するアーカイバや展開方法は決まっています。この関係を把握してしまえば、アーカイブファイルを展開するのは簡単です。アーカイブファイルのあるディレクトリで、決まったコマンドを使えばいいのです。
一部、拡張子が“EXE”や“COM”になっているファイルもあります。これは一見、普通の実行ファイルに見えますが、実は「自己展開(解凍)型」と呼ばれている形式のアーカイブファイルで、実行すると、そのアーカイブファイル内に収められたファイルが次々に展開されます。
拡張子と、その展開に必要なアーカイバ、そして展開方法を以下にまとめました。
Windows/MS-DOSの拡張子対応展開ツール一覧
拡張子 対応アーカイバ 展開コマンド 展開実行 .LZH LHA.EXE × LHA x ABC.LZH .EXE 不要 不要 ABC.EXE .COM 不要 不要 ABC.COM .ZIP PKUNZIP.EXE 不要 PKUNZIP ABC.ZIP .ZOO ZOO.EXE -e ZOO -e ABC.ZOO .TAR TAR.EXE -xvf TAR -xvf ABC.TAR .TAZ TAR.EXE -xvf TAR -xvf ABC.TAZ ただし、現在多くのユーザが使用しているWindows用のアーカイブツールでは、上に示すような展開コマンドを意識することなく、ファイルの圧縮、展開ができるようになっています。
- LHA
- 拡張子が“.LZH”のアーカイブブファイルは、LHAを使用してアーカイブされたものであり、日本国内で最も広く使われている形式です。LHAは現在(というよりも、LHArc時代を含めるとすでに10年近くにわたり)、国内で最もよく使われているアーカイバです。海外ではZIP形式のアーカイブの方が一般的ですが、国産のフリーソフトやシェアウェアに関していうなら、LHAさえ使えれば滅多に困ることはないでしょう。
- PK(UN)ZIP
- 拡張子が“ZIP”のアーカイブファイルは、アメリカでは最も一般的です。PKUNZIP.EXEを使って元のファイルを復元します。PKUNZIPはファイル復元専用のプログラムです。PKUNZIPで復元するアーカイブファイルは、PKZIP.EXEという別のプログラムで作成されています。
- TAR
- 拡張子が“TAR”“TAZ”“TGZ”のファイルは、GPL扱いのソフトでよく用いられています。これらのアーカイブファイルは、TAR.EXEを使って元のファイルを復元します。
- ZOO
- 拡張子が“ZOO”のアーカイブファイルは、ZOO.EXEを使って元のファイルを復元します。
- 拡張子が“ARC”の場合
- 拡張子が“ARC”のアーカイブファイルは、展開するには、PKWARE Inc.のPKUNPAC(PKXARC.EXE)か、System Enhancement Association, Inc.のARC.EXEが必要です。
■Macintosh環境でのアーカイバ
Mac用のアーカイバとしては代表的なものにはStuffIt、Compact Pro、Disk Doubler、さらに日本製のMacLHAなどがあります。このうちフリーソフトやシェアウェアの圧縮に利用されているのは、StuffItが圧倒的に多く、次いでCompact ProとMacLHAが使われ、Disk Doubler形式のものはわずかといった状況です。
Macのファイルはアイコンで表示されますが、アーカイブファイルの場合もアーカイバの種類によってアイコンの絵柄が異なるので、アイコンを見ればそのファイルを作成したアーカイバを判断することができます。
Macintoshでよく使用される展開ツール一覧
アーカイバ
のアイコンアーカイブファ
イルのアイコン拡張子 自己展開型アー
カイブのアイコンStuffIt .sit Compact Pro .cpt Disk Doubler Pro .dd MacLHA .lzh − (注)自己展開型の場合は、.seaという拡張子が使われる場合が多い
ユーザのディスク上にそのファイルを作ったアーカイバが存在しない場合は、アイコンは白紙になることがあります。アイコンが白紙になっている場合は、ファイル名の拡張子(下の例では“.PKG”)から、アーカイバの種類を判断することもできます。
拡張子というのは基本的にファイル名末尾のピリオドより後ろ、Archive.sitというファイルなら“sit”の部分のこと。.sitであれば、StuffIt形式のアーカイブファイルであることを示しています。WindowsやMS-DOSとは異なり、Macでは拡張子が特別な意味を持つわけではありませんが、アーカイブファイルの形式ごとに独自の拡張子を付けることが、慣例的に行われているわけです。
一方、展開用のアーカイバとして最もポピュラーなのがStuffIt Expander。これはもともと「StuffIt形式」のアーカイブの展開用プログラムですが、StuffItだけでなく、「Compact Pro形式」のアーカイブファイルも展開することができます。ですからStuffIt Expanderがインストールしてあれば、ほとんどのアーカイブファイルは展開できるということになります。
なお、日本生まれのMacLHA形式のファイルは、展開するにもMacLHAが、またDisk Doubler形式のファイルを展開するにはDD Expandという専用展開ソフトが必要です。
《2.差分ファイルについて》
Windows/MS-DOSのフリーソフトやシェアウェアの配布では「差分ファイル」と呼ばれるものがよく使われます。差分ファイルとは、フリーソフトなどがバージョンアップした場合に使用する、新旧ファイルの異なる部分の情報だけを収めたファイルです。差分ファイルを使えば、古いファイルを最新のものにアップデート(更新)することができます。
フリーソフトは市販のソフトよりも、こまめにバージョンアップされることが多いのですが、バージョンアップでは、プログラムの全体ではなく、その一部だけが更新されていることが多く、このような場合に差分ファイルが使用されます。全体をまるまる入手しなおすよりも、バージョンアップされた部分だけを入手した方が、入手するファイルも小さくなり、通信費用も安価で済むからです。
ただ、差分ファイルを使ってファイルをアップデートするには、専用のツールが必要となります。そのため、アーカイバと同様、差分を使用するためのツールの使い方も知っておく必要があります。>差分ファイルもアーカイブファイルと同様、特定の拡張子が使用されており、拡張子によって、使うツールやコマンドは決まってきます。その関係は下表にまとめました。
拡張子対応差分更新ツール一覧
拡張子 対応差分ツール 更新コマンド 更新実行 .BDF BUPDATE.EXE 不要 BUPDATE ABC.DEF .LDF LDF.EXE 不要 LDF ABC.LDF .LZD LDFF.EXE x LDIFF x ABC.WUP .WUP WSP.EXE 不要 WSP ABC.WUP .EXE 不要 不要 ABC.EXE .COM 不要 不要 ABC.COM 元のファイルと差分ファイルを同じディレクトリに置き、そこで差分ツールを実行すれば、新しいファイルが作成されます。差分ファイルについても拡張子がEXEやCOMになっているファイルがありますが、これらのファイルも、実行すると自動的に、元のファイルから新しいファイルを作成しはじめます。専用の差分ツールを用意しておく必要がないので、こちらの形式の差分ファイルが次第に増えてきています。Macで「差分」という形で配布される場合は、このEXEやCOMと似た「アップデータ」という形式が使われることが一般的です。